とある山小屋に泊まったときのこと。
部屋に入ったとたん鼻がひん曲がるほど臭気が充満している。
部屋の中を丹念に探してみたが臭いの元となるようなモノは無かった。
皆、首を傾げることしきり。
しかし、このままではここで寝ることも出来ない。

仲間の一人が押入を開けると、天井の板が少しずれていた。
どうやら、屋根裏にそこからいけるようだ。
しかも、臭いの元はどうやらそこである。
当然のことながら皆、最悪の事態を想像していた。
一人が、意を決して屋根裏に上った。
絶叫とともにそいつは押入を転げ落ちてきた。
ひと、ひと、が寝てる!
寝てる?皆、首を傾げる。
生きてるのか?そいつは。

だって、にやにや笑っていやがるんだ!
もう一人が勇気を出して懐中電灯を片手に屋根裏に上った。
確かに真っ暗な中に黒い陰が横たわっている。
くさい。
死体か?でも、確かに笑っている。
やけに暗闇に白く浮き出た顔が、ニヤニヤと笑っている。
懐中電灯を顔に当てた。

口のあたりがモゾモゾとうごめいている。
それは、顔にびっしりとたかった蛆だった。

ニヤニヤと笑っているように見えたのは、うごめく蛆の動きだった。