友人の部屋に泊まり込むと、ほとんど必ずと言っていいほど「狭い場所に閉じ込められる夢」を見た。
しかも結構リアルで、手足を縮こまらせているしかないスペースの暗闇で、こちらからはどんなに叩いても悲鳴を上げてもぴくりともせず、何も出来ないまま、どんどん酸素が減って行くのだ。

いつも死ぬ寸前に目を覚まして、汗びっしょりで目を覚ましていた。
あるとき、その夢が中々覚めないことがあった。
いつもなら夢が覚める辺りでも自分はずっとその場所にいる。

私は「これは夢だ」と必死に思い続け、どこかに体当たりして、ようやく目を覚ました。
布団から起き上がってぜいぜい言っていると、変なことに気づいた。

すぐ横のキッチンから微かに物音がするのだ。
しかも聞いてみると、なんとなく聞き覚えがある。
私はそっちを向いて、状況を認識したとき、ぞっとした。

物音は冷蔵庫のなかから断続的に聞こえて来る。
そしてその音と言うのは、私の声に物凄く似ていたのだ。

「たすけて」

「出して」とか、夢の中で言っていた叫び声だった。

なんか、冷蔵庫自体もガタガタいっていたような記憶がある。
やがて音は止んで何事もなかったように静かになった。
私はそれを確認した後、色々考えていたが、段々面倒になって来て、結局そのまま寝た。

次の日、友人に事情をそれとなく話すと、彼女も似たような目にあっていた。
幽霊云々じゃなく「落ち着いて寝られない」という理由で、彼女もさすがに引っ越した。
今でも、あれは何だったんだろうなあと思う時がある。