トルルルル・・・。

夜中に携帯が鳴る、しかも真夜中3時に。
ほっといて10秒ほどすると自動的に留守電になり切れた。

寝ぼけ眼で着信を見ると、知り合いのSだ。
頭に来て、文句を言おうと掛け直してみる。
すると聞き慣れない年輩の声が聞こえる。

「・・・もしもし」

拍子抜けして答え返す。

「あれ?・・・Sじゃないですか?」

「はい?・・・Sさんは、2時間前に交通事故が原因で先ほど亡くなりましたました。わたしは●●警察の交通課の者です。失礼ですが、ご友人の方ですか?」

しばし絶句した。

「今しがたその携帯で、この番号で掛けましたか?」

「・・・掛けてませんけど。私も遺品のジャケットが震えてるんでなにかと思ったら携帯がでてきて・・・」

なにか狐につままれたような気がした。
遺族も帰ってしまったところだという。
とりあえず明日またか掛け直すということで警官と話をして電話を切った。

切った直後、携帯の留守電有の表示が出ているのに気づいた。
恐る恐る再生電話番号を押してみた。

「●月●日 午前1時25分1件です・・・うあーーー----ーーーっ!!」

普通の人間なら息が続かない3分間、音声が割れるほどの絶叫が続いている。
気味が悪くなってすぐに消した。

Sが知らせたかったのは、ダイイングメッセージではなく、「死の瞬間」そのものだったのだろうか。