風呂に入っていた。
頭を洗い、体を洗い、さて湯船につかろうか、と浴槽に目を向けたとき、とんでもないものがいた。

灰色の赤ちゃん。
目が合った。
まるでお地蔵さんのような感じだった。

慌てて風呂から飛び出し、母親に報告しようとしたが、声が出ない。
まるで魔法でも掛けられたように、発声できない。
ジェスチャーで一緒に来てくれと母に伝え、風呂場に走った。

もう何もいなかった。
声が戻り、一部始終を話した。
母親はいつまでも笑っていた。