ちょっと記憶があやふやですが、一応実話です。

自分は消防の頃、お盆がくると毎年山奥の親父の実家に預けられていた。
山々の谷間にポツンとある集落で、娯楽施設なんか何一つなかったけど、毎日のように爺さんが山に探険に連れていってくれてたから、あんまり退屈しなかった。

あの日も爺さんにくっついて山の中(たしか沢沿い)を歩いてたら、狸(?)の死体が転がってて、自分は狸とか野性生物を間近で見るのがはじめてなもんだから、死体とはいえ大興奮。
でも爺さんは、自分とは反対に変な顔しながら、狸を引っ繰り返した。
そしたら、その狸の腹が、喉の辺りから尻尾の辺りまで一直線に裂かれてた。
んで、その中にやたらとタンポポみたいな花が詰められてて、可哀相つぅよりオゲッってなった。
勿論探険は中止。

おかげで夕飯が全然進まなくて婆さんに怒られた。
これだけで終わりなら良かったんだが・・・。
自分は夜寝るときは、離れにある親父の部屋で寝ていたんだが、変な物音で目が覚めた。
ビチャビチャって足音(?)が、離れの周りをグルグルまわってる。
カーテンに子供くらいの影が映ったときは、幽霊としか思えなくて心臓止まるかと思った。
勿論ビビリな自分は、朝に婆さんが起こしにくるまで布団に潜って(山奥の夜は夏でも寒い)耳塞いでた。
あの時ほど、年寄りの早起きを有り難いと感じたことはない。

夜のことを話したが、爺婆は信じてくれなかったし、狸のことも近所のガキの仕業だと笑い飛ばされました・・・。
爺さんかなり顔引きつってたけど・・・。
結局アレが何の仕業だったのかは分からないまま、爺さんが去年他界しました。