友人に誘われてその知り合いのおなご衆とバーベキューをすることになった。
夜の川辺で焚き火を囲んでいる夏の夜、当然というか必然というか、怖い話で盛り上がっていた。

各々持ち寄った怖い話も一段落ついた頃、まだ話してない子がポツリと、「私、霊感あるよ」なんて言い出すもんだから皆大喜び。
あまり非科学的なことは信じたくない俺は彼女に証明してくれと言ってみた。

すると、「あんたの背後に、おじいちゃんがいるよ」っとまぁ、ありきたりなことを言ってくれちゃうもんだから。
人相まで詳しく言い当ててくれとまくし立ててみると、ものの見事にピタリ一致。

少し怖くなって俺が黙ると、たたみかけるように彼女が言う「お墓参り全然してないでしょ、おじいちゃん哀しそうな顔してる」とまで言われ、さすがに俺も、信じはしないものの「墓参り、行こうかな」と思ってしまったその瞬間、彼女は目をクワッと見開き「今、お墓参り行こうって思ったでしょ?」と、図星をモロに突いてくれた。

なんでわかるんだと聞いたら、「だって、おじいちゃん少しニコッとしたから」

それでも信じたくなかった俺だったが、さすがに不気味になって引いていた。
そこで、すっかり肝を縮めてしまった俺を見かねた友人が「俺もなんか見てくれよ」と言うと、「あんたの車、白いセダンでしょ」と、これもまた図星。

俺と同じく友人も何でわかるんだと問うと、「その車、気をつけた方がいいよ」

俺も友人も2人揃ってビビってしまい、ここらでお開きにしようということにした。

その後、その時のことをよく考えてみると、俺や友人に言ったことは・・・霊感が無くても誘導出来る話なんじゃないだろうかと思った。
心の中で奴はペテン師なんだろうと思うようになっていた。

しかしバーベキューの日から一ヶ月程経った時、友人が大事故を起こしたという報せを受けて呆然とした。
幸い命を失うまでには至らなかったものの、ムチウチと両足の骨折という洒落になってない状態だった。

廃車となった白い旧型のクラウンを解体した時、ダッシュボードの裏側が、大量の血で真っ黒になっていたと友人に聞いた。
その血は友人の物ではなく、恐らくは友人の前の所有者の物だろうとのこと。

以来、少しだが非科学的なことも信じるようになった。