あんまり恐くないけど、実体験ではあります。

まだ私が小学二年生だったころ。
当時私は兄貴と家から随分はなれた塾へ通っていました。

塾へ行く途中の道には長い階段があって、その辺りには街燈もなく、ちょっと不気味だったと記憶しています。

いつもの塾の帰り道、兄貴の背中を見ながらいつもの階段を上がっていたときのことです。
階段の半ばで立ち止まり、私はふと後ろを振り返りました。

私の後ろには女の人が上ってきていました。
確か髪が長く、赤いスーツを着ていたと思います。
それを目に収めてから、私はまた前を向き直りました。

ところが・・・。

私のすぐ前を上っていたのは兄ではなく、たった今私の後ろを上がってきていた赤いスーツの女性だったのです。

呆然としている私に女性は振り返り、にやりと笑いました。

それから記憶が途絶えているのでどうなったかは憶えていませんが、その後塾を辞めてしまったことだけはハッキリ憶えています。
特にその後何かあったとか、そういうことではないのですけれど、不気味な出来事として、記憶しています。
場所は近隣の方もいらっしゃると思いますので、あえて伏せておきます。