うちの近所では、左回りにグルグルと螺旋(らせん)を書くように順繰りに死人が出た。
昭和50年代に開墾された住宅街で、同世代ばかりなのだけれども、31歳の長男を亡くした家もあれば、16歳の娘さんを亡くした家もあり、世代的な問題ではなさそうだった。
祟りを危惧して引っ越した家もあったが、そこのうちの主人も引っ越し先でまだ54歳なのに急な脳梗塞で亡くなった。

とうとううちの番になった。
父が大腸ガンになった。
みんな覚悟を決めた。
しかしうちの父は助かった。
リンパへの転移も一切なく完全に回復した。
左回りの死に神は、父をすっとばして隣家へ行ってしまった。

実はその時には、『従兄弟同士に3人同い年の子供がいると、3人とも50代までに全滅する』といううちの家系のジンクスがあって、父と同い年の『父の従兄弟』が2人が次々と死んだ。
しかし父は助かった。

母方の実家では道路工事のために、動かしてはいけないと言われた先祖代々が祭る祠を動かした。
地元の霊媒師に、祟りで身内が3人死ぬと言われた。
たしかに母方の伯父2人が次々と死んだ。
白血病と胃ガンだった。
しかし父は助かった。

父の所で祟りの三つ巴が起ったのか?
実はあの世の戸籍では、父はもう鬼籍に入っていることになっているのかもしれない。