小学3年の頃の話。

夜寝てたら『トントン』と肩を叩かれ名前を呼ばれた。
それは、おふくろの声だった。

俺は目をつむりながら「あ?なに??」と。

おふくろは「トイレに行きたいんだけど・・・一人で行くの気持ち悪いし、一緒に・・・」と、もともと霊感の強いおふくろだし、じいちゃんが入院中で危篤状態というタイミングだったから、心細いのかなと思ってた。

家にいるのはおふくろと弟、そして俺の3人。
おふくろが精神的にかなり参っていたのも解ってたので俺は快く了承した。

時間が何時だったかも確認しなかったがとりあえず、暗がりの中、おふくろの手を握って階段を降りた。

階段を降りきってすぐ「ここで待っといて」と、おふくろに言われ、俺は階段に腰をおろし座っておふくろを待った。

とにかく眠い・・・。
目がもの凄くシパシパしてた。
壁に持たれてそのまま寝てしまいたかったが・・・我慢した。
おふくろに何かあった時は俺が守らなければと・・・子供ながらに強くその時思ってた。

そうこう待ち続ける事5分。
待てど、一向にトイレからおふくろが出てくる気配がない。

「なにしてんだよ・・・こっちはもう眠くて仕方がネェんだよ・・・」

たまらずトイレの前へ駆け寄りおふくろに声をかける。

俺「なあ・・・もう眠いし俺戻っから」

おふくろ「ちょっと待って、もう済むから。もう少しそこで待ってて」

俺「どれだけ待たされてると思ってんだよ、寝るよもう」

その瞬間、階段側(後ろ)から物凄い勢いで右手首を掴まれ引っ張られた。

俺「うわっ!!!?」

俺「えっ誰!!?」

見上げると、おふくろだった。

俺「ん??」

俺「あれ!!?いやっだって、えっ!!?」

状況が全く理解できないままおふくろに引っ張られ、おふくろの部屋で、もともとそこで寝てた弟とおふくろと、俺の3人で寝たようだが、一緒に寝たという記憶がひどく曖昧だった。

朝起きたらじいちゃんが死んでた。
あの出来事(おふくろトイレから出てこない事件)に関係があるのかも・・・。
あの出来事がなんだったのかも解らない。
寝ぼけてただけかもしれない。

まぁアレが現実だとして、あの時おふくろが現れず、おふくろだと思ってたものをあのまま待ち続けてたら・・・。

そのことも今となっては解る由もない。
俺が小学孝の頃の不思議な体験でした。