そこは隠れ場としては結構穴場で、警官役の連中はなかなか探しに来ない。

あまりの暇さ加減に友達と怪談話などをしてた時、倉庫の外から話声が。
しばらく黙って外の様子を窺ってると、不意に背後に気配が。
それはおいら達が侵入してきた窓の方からで、今いる場所はそこからは見えない死角。
息を潜めていれば見つかるわけなどない・・・。

「見つけた」

あまりにも唐突に、しかもおいら達のすぐそばで、その声は聞こえた。
咄嗟に窓を見るとそこには誰もいない。
逃げるのは今！とばかりに窓に向かって走りだした。
二人が窓から脱出し、さぁ次はおいら、って時にふと頭によぎるものがあった。

ん？
ちょっと待て。
今の声・・・女の子？
今日は女の子は混ざってないぞ？

振り返って見てみると、おいらの背後に女の子が。
ゆっくりとこちらに手を伸ばしながら。
よく見ると、女の子とは２，３メートルほどの距離。
なのに手は俺のすぐ後ろ。

「つかまえた」

その声が聞こえた瞬間、窓の外から伸びてきたもうひとつの手に引っ張りだされた。

外からの手は警官役の連中だった。
倉庫内での出来事を説明し、みんなで中の様子を窺ってみる。

何もいませんでした。

ただ、その女の子のいた場所に水溜りのような染みと、倉庫の奥に点々と続く足跡のような染みだけが。
みんなで考えた結果、なんやようわからんが一緒に遊んで欲しかったんかなぁと思い、「今日は遅いからまた今度な！」って挨拶を残して帰りました。

今に思えば、あのまま女の子に捕まっていたらどうなっていただろうか。