俺前にホストやってたんだ。
まあ場所とかやばいんで一切書けないけどさ。

で、しばらく働いて、貢いでくれる女ができたんで、即効やめちゃったわけ。
女に金貰って、毎日パチやってたんだけど、ある日、店で打ってると女から携帯は入った。
周りうるせーから外に出たらさ、いきなり両腕固められた。
ガタイのいい人にね。

そんでバン(ワゴン車)に詰め込まれて、すぐ腹にパンチだよ。
声出す暇もない。
あっという間に手錠かけられて、頭にギリギリ何か押し付けられた。
鉄の筒みたいなもん。

バンの中には四人いた。
助手席のおっさんがゴルフボール出して、「口に入れろ、もっと痛い思いしてえか?」とか聞いてくる。
もう腹にパンチもらうの限界だったから、素直に従ったよ。

したら横のデブが俺の顔をガムテープでぐるぐる巻き。
かろうじて鼻はふさがれなかったけど、これスゲエ苦しいの。
何か必死に呼吸してるって感じ。

ヨダレとか出るんだけど、それを飲み込もうとすると、ゴルフボールも喉に入ってくる。
目も見えねえし、耳も聞こえねえ。
それが何時間続いたんだろう。

やっと車から降ろされ、連れて行かれたのは山の中。
テープ剥がされて見ると、当たりは真っ暗。
連中が持ってた懐中電灯でかろうじて周囲が分かる。
まばらに木が生えてて、秋だから虫が鳴いてた。

「何でこんな目にあわなきゃいけないんすか!?」

俺泣きながら聞いたね。
すると一人が答えた。

「このスコップで穴掘れ。そしたら教えてやる。それが嫌なら、答えは一生聞けないぞ」

あいつら何かゲレゲラ笑ってたけど、一人がドスのきいた声で、俺に穴掘らせんなよ、て凄んでた。

想像はついたよ、こりゃ女がらみだなって・・・。
あと逃げることも考えた。
でもすぐに無理だって諦めた。

なぜだか分かんないけど、最後の最後で、連中逃がしてくれるんじゃないかなとか甘い期待してたな。
そんで、俺すぐに穴掘ることにした。

後ろにドス声の下っ端がついて、懐中で俺の前を照らしてるんだが、どこら辺を掘ったらいいんだか。
俺はスコップを地面に突き立てて、軟らかそうな場所を探した。
すると、一メートル移動したくらいの場所がサクッといきそうだった。

真面目に仕事してます、みたいな感じでやったね。
相手に好感度もたれるの期待して。
そんで、しばらく掘り続けると、スコップの先が何かに当たった。

硬いもんじゃない。
土を払うようにして確かめてると、下っ端がいらついて声をかけた。

「もたもたすんなっ」て言われて、「何かあるんすよ」と俺。

懐中電灯で照らすと、そこに先客がいた。
俺は小便ちびってへたりこんだ・・・。

一瞬見えたのは、裸の背中。
それに紋々が入ってた。
同業者だったんだろうね。

結局、無事生きているんだが・・・詳しいことはマジで書けない。
この辺が限界なので勘弁してくれ。

とにかく俺が言えること・・・。

「普通に生きるっていうのは凄く幸せだ」ということ。