疣(イボ)の治療にご利益がある御神石(ごしんせき)は全国各地に存在し、疣神様(いぼがみさま)の名で現在も信仰を集めている。

疣神様はときに大木のケースもあるが、多くの場合は巨大な岩で、岩のくぼみに溜まった水をイボに付けると治癒の効果があると云われている。
不思議なことにくぼみに溜まる水は年中枯れることが無いという。
そして地域によって疣取りの作法は異なっていて、某所では霊水を付けたら疣神様が視界に入らなくなるまで振り返ってはいけないという仕来たりまで設けられている。

疣神様のところから石を借りて来て疣を撫でる場合には、治癒した後に石を返さないとイケない。
もし返し損ねると撫でた箇所に倍の疣ができるという話もある。

四国某所では疣の治癒後に、川原で表面がすべすべした石を拾い、感謝の心を持ってお返しするのが作法となっている。

現代は医療が発達しているので普通の疣(イボ)であれば治療に難儀することもないが、ハイリスク型のヒトパピローマウイルスによって生じる疣の中には子宮頚癌へと進行するモノもあり、決して甘くは見れない。

そして、疣を作るウイルスと咽頭ガンの関連も疑われており、オーラルセックスで性器から咽頭・口腔にウイルスが感染して癌の原因となっているという見方もある。

現在、性行為の低年齢化と避妊具を使用しない性交によって若い女性の婦人病が増加傾向にあるというが、その陰には疣の存在があるといってよいだろう。

そのウイルスは男性器の恥垢に潜むと云われ、避妊具を使用しない直接接触によって感染する。
ウイルスのワクチンも全年代に広く普及されているとは言い難いので、世相的には疣神様のご利益に頼る意義は大きいのではないだろか。