私が、まだ高校生だった20年前の話です。

その時は富山に住んでいたのですが、クラスメイトの遼子は学校を辞めるか否かで悩んでいました。
よくある話で原因は男です。
進学校に通う遼子にとって養護施設で育ち、身寄りもなく、高校中退で不良だった彼は両親の受けも悪く悩みの種でした。

高3で受験の時期ともなると両親の反対は、ますます凄まじくなり、こうなったら学校やめて駆け落ちしようか、というところまできていました。
私は勿論、止める側でした。
その日も放課後相談があるとかで私は彼女に浜辺に呼び出されました。

しかし私は私用で30分遅れてしまいました。
浜辺にはすでに待ちきれなかったのか遼子の姿はありませんでした。

浜辺には遼子の通学カバンがなぜか置き去りにされていました。

キョロキョロあたりを見回すと近所のおばあちゃん(現在、すでに死去)がいたので聞いてみたら「遼子ちゃんなら、さっき不良みたいな男どもと話しとったがやけど」と言うのです。

仕方がないのでかばんだけ遼子の家に届けました。
それ以来、遼子は学校に来ませんでした。
駆け落ちしたんでしょうがとうとう見つかりませんでした。
彼氏も町から姿を消しました。

しかし、最近になって妙に気になることがあるのです。

私が浜辺に駆けつけた時、見慣れない黒っぽい船が遠くに見えたのです。
その時は全く気にしていなかったのですが・・・。

最近テレビを見るたびにこれはもしかして・・・。
そして私がもし、時間通りに行っていたら、私は現在ここにいれたのだろうか・・・。

考え過ぎかもしれませんが、いまだに遼子からの連絡や消息が全くわからないので、可能性はあるかもしれません。