先輩の話なんだけど。
その先輩とB、C、D、Eと5人で地元で少し有名な肝試しスポットに行ったらしい。
そこは林?森みたいな所にある洞窟で、昼間なのに真っ暗でとにかく雰囲気がいかにもって感じの場所。
しかも中には地蔵さんが何体もずらーと並んでて、何の為の場所なのかわからないような所でさ。んで、昼間なんだけど5人で入って探索してたらしいんだけど特に何もなくて、お調子者のB先輩が「呪えるもんなら呪ってみろよ」みたいなこと言いながら地蔵を蹴ってまわってたらしい。

先輩はやめとけよみたいな感じで止めて、まぁ何事もなく出て近くにあるグラウンドでサッカーのパス回しみたいなやつやってたらしいんだ。
んで少ししてたらB先輩が「う~」とかふざけた感じで両手広げてフラフラしながらパスを待ってたらしくて、先輩が笑いながら山なりのパス出したらしいんだけど、胸とかでトラップ出来そうなやつをもろ顔面に受けてバタンって倒れ込んだらしいんだよ。

皆で爆笑。
そんでなにやってんだみたいな感じで近づいたら顔がぐしゃぐしゃ血だらけで鼻曲がって意識失ってたらしい。

皆とにかくテンパって救急車呼んで病院行って、とりあえず手術?みたいになって明日また見舞いに来ることにして帰ったらしい。

次の日、学校終わりに病院行って、先輩も自分がパスしたボールで大ケガさせたってことに罪悪感あって親御さんにも謝らなくちゃみたいな気持ちだったらしい。
んで病室に入ったら顔は包帯とかガーゼだらけだったらしいけど、「おぉ来てくれたんや」みたいに普通に喋れて思ったより元気そうで安心したらしい。

それで謝って「大丈夫なん?」みたいに話してたらB先輩が落ち込んだ風に「実は・・・」って話はじめて、B先輩曰く、あの時急に息苦しくなって口を塞がれるみたいに喋れなくなって、そしたら見えないけど後ろから羽交い締め?脇の下から両腕入れられて首の後ろで組むやつ?みたいな感触で動けなくなったらしい。
だから「う~」とか言って両手広げた状態になってたらしい。
で、ボールが当たった瞬間に意識無くしたみたい。

B先輩も先輩達も死ぬほどビビったらしい。
しかも勢いよく倒れただけで顔が所々膨れて青たんと傷出来て鼻と頬折れることはないやろ・・・と。
そしてまぁ無事退院して、その後5人揃って線香とかお菓子持って謝りにいったらしい。

そっから特に何もなくて先輩達も卒業して俺も疎遠になって話を聞くこともなかったんだけど、地元に帰って、久しぶりに先輩と会って話したらB先輩3年前に事故で亡くなったらしい・・・。
しかもまたそこに彼女と肝試しに行って・・・。

彼女は助かったんだけどB先輩は運ばれて次の日に。
もう何か、言葉でなかった。