今から15年ほど前の中学の野球部合宿での話。
毎年、夏の合宿で使っていた宿が廃業し、その年から宿が変わった。
民宿でも、もちろんホテルでもなく、そこは公民館というか町営の集会所のようなところだった。
毎年、夏の合宿で使っていた宿が廃業し、その年から宿が変わった。
民宿でも、もちろんホテルでもなく、そこは公民館というか町営の集会所のようなところだった。
もともとは地元の豪農の屋敷だったということで、構造自体はかなり立派なお屋敷といった感じの建物だったが、築100年にも届くかという古い建物で、到着するなり俺らは、「うぉ~!お化け屋敷や~!」と大騒ぎだった。
まあ、見かけこそお化け屋敷に見えたが、中はすっかり改装されてたし、便所や風呂も同じ建屋の中に移築されてて、外見ほど不便でも怖い建物ではなかった。
初日の夜のこと。
練習を終え、飯を食い、夜間素振りも終え風呂に入って、あとは寝るだけという時にそいつは現れた。
話が少し前後するが、部屋に着いた時。
30畳くらいの大広間で三方は壁。
他にでっかい床の間もあった。
その部屋へ通じる廊下は中庭に面しており部屋との仕切りは障子だった。
中庭には部屋からみて奥の方に常夜灯が灯っており障子を閉めると、中庭の木々の影が障子に映しだされた。
さあ、寝よかと廊下側の電気だけ消した時、「おい、あれなんや・・・?」と、誰かが言った。
閉められた障子には木々の影・・・といっしょに、女の影が映っていた。
厳密に言うと、髪の長い女の形にしか見えない影が映っていた。
「・・・まじで?」
とかなんとか言いながらもこっちには総勢二十数名の男が揃っている。
「おるぁ~!!」とか何とか、気合一発誰かが障子を開けた。
そこにはさっきまでと変わらない木々の生い茂る中庭の風景しか無かった。
辺りを見回すが、もちろん誰も居ない。
「・・・?」
誰もがクビをかしげた。
そしてそいつが障子を閉めてまたもやびっくり!
やっぱり女の影が映っている!
それからは俺らによる検証が始まった。
閉めては女の影、開けては木々の風景・・・。
障子を開けたり閉めたりしては「あの木が映って女に見えるんちゃうか?いやここには映らんやろぉ~」などとしばらくやっていた。
しかし、結局なにがどう映ってこんな完璧な女の形になるのかは判明せず、その影も別に動き回るわけでもないのでだんだんみんな飽きてきた。
翌日のことを考えると、いつまでも起きているわけにもいかないので、そろそろ寝よかということになり、大広間の電気を全部消した。
電気を消しても相変わらず中庭の木々の影と女の影は別段変わりもなくそこに映っていたが、俺も疲れて次第に気にもならなくなり、ウトウトしかけた時だった、
「でじゅたすぴびゅりゃしんめちおぶちぜのちゃぶぉ~!!!」
突然誰かが、もう何を言ったのかさっぱり分からない絶叫を上げた!
みんな飛び起きて、「どないしてん!なんやねん!どないしてん!」とびっくりしてそいつに聞いた。
と、そいつは「う、う、動きよった~~~!!!」と絶叫した。
見ると、女の影が消えている・・・。
そいつが言うには、なんとなくボ~っと寝ながら障子を見ていたら、女の影がそのまま平行移動の形で横滑りしていったらしい。
困ったことに髪の毛が少しなびいていたということだった。
俺らは信じるしかなかった。
現に女の影はもう無かったからだ。
とにかく俺らはびびるだけびびった・・・。
俺にしたらその瞬間を見ずにすんだことは救いだったが・・・。
しかし翌日、翌々日、その影は現れなかった。
先生も「俺も見たい!」ゆうて待機していたのだが・・・。
そして俺らは帰った。
役場や地元の人に、いわく因縁を聞くでもなく。
帰ってからしばらくはその話題でもちきりだったが、結局影の正体は分からずじまい。
翌年から、場所も宿も変更になったらしい。
後日談も何もなしだが、あの時のメンバーが何人か揃うと、いまだに「ホンマ、あれはなんやったんやろう・・・?」と話題に上がります・・・。
まあ、見かけこそお化け屋敷に見えたが、中はすっかり改装されてたし、便所や風呂も同じ建屋の中に移築されてて、外見ほど不便でも怖い建物ではなかった。
初日の夜のこと。
練習を終え、飯を食い、夜間素振りも終え風呂に入って、あとは寝るだけという時にそいつは現れた。
話が少し前後するが、部屋に着いた時。
30畳くらいの大広間で三方は壁。
他にでっかい床の間もあった。
その部屋へ通じる廊下は中庭に面しており部屋との仕切りは障子だった。
中庭には部屋からみて奥の方に常夜灯が灯っており障子を閉めると、中庭の木々の影が障子に映しだされた。
さあ、寝よかと廊下側の電気だけ消した時、「おい、あれなんや・・・?」と、誰かが言った。
閉められた障子には木々の影・・・といっしょに、女の影が映っていた。
厳密に言うと、髪の長い女の形にしか見えない影が映っていた。
「・・・まじで?」
とかなんとか言いながらもこっちには総勢二十数名の男が揃っている。
「おるぁ~!!」とか何とか、気合一発誰かが障子を開けた。
そこにはさっきまでと変わらない木々の生い茂る中庭の風景しか無かった。
辺りを見回すが、もちろん誰も居ない。
「・・・?」
誰もがクビをかしげた。
そしてそいつが障子を閉めてまたもやびっくり!
やっぱり女の影が映っている!
それからは俺らによる検証が始まった。
閉めては女の影、開けては木々の風景・・・。
障子を開けたり閉めたりしては「あの木が映って女に見えるんちゃうか?いやここには映らんやろぉ~」などとしばらくやっていた。
しかし、結局なにがどう映ってこんな完璧な女の形になるのかは判明せず、その影も別に動き回るわけでもないのでだんだんみんな飽きてきた。
翌日のことを考えると、いつまでも起きているわけにもいかないので、そろそろ寝よかということになり、大広間の電気を全部消した。
電気を消しても相変わらず中庭の木々の影と女の影は別段変わりもなくそこに映っていたが、俺も疲れて次第に気にもならなくなり、ウトウトしかけた時だった、
「でじゅたすぴびゅりゃしんめちおぶちぜのちゃぶぉ~!!!」
突然誰かが、もう何を言ったのかさっぱり分からない絶叫を上げた!
みんな飛び起きて、「どないしてん!なんやねん!どないしてん!」とびっくりしてそいつに聞いた。
と、そいつは「う、う、動きよった~~~!!!」と絶叫した。
見ると、女の影が消えている・・・。
そいつが言うには、なんとなくボ~っと寝ながら障子を見ていたら、女の影がそのまま平行移動の形で横滑りしていったらしい。
困ったことに髪の毛が少しなびいていたということだった。
俺らは信じるしかなかった。
現に女の影はもう無かったからだ。
とにかく俺らはびびるだけびびった・・・。
俺にしたらその瞬間を見ずにすんだことは救いだったが・・・。
しかし翌日、翌々日、その影は現れなかった。
先生も「俺も見たい!」ゆうて待機していたのだが・・・。
そして俺らは帰った。
役場や地元の人に、いわく因縁を聞くでもなく。
帰ってからしばらくはその話題でもちきりだったが、結局影の正体は分からずじまい。
翌年から、場所も宿も変更になったらしい。
後日談も何もなしだが、あの時のメンバーが何人か揃うと、いまだに「ホンマ、あれはなんやったんやろう・・・?」と話題に上がります・・・。
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