オレのじいさんは若い頃、山岳修行をしていて、お盆になると死んだじいさんがしてくれたこの話を思い出す。

山に入り、夜道を歩いていると、たまに、さっき通ったはず?という道に出くわす時がある。

最初はあまり気にせず、そのまま歩いて行く。
そのまま目的地に行ければ、それで良し。

しかし、しばらく歩き続けて、明らかに堂々回りをしている場合がある。

そんな時にはこの呪文を唱える。

「・・・・・・」

どういう呪文だったか、今はもう思い出せないが、手印を結んでいたので真言かと思う。

「これを唱えると、辺りにさっと霧が立ちこめて、この悪さをしている奴らが見えてくる・・・」

じいさんの話によると、立ちこめた霧と地面との間に、無数の動物の足が見えてくるらしい。
それが狐の足だったり、狸の足だったり、時には両方ある時があったらしい。

後は、一喝。

「奴らは、正体がばれた途端、霧とともにいなくなって、そして道が開ける」

じいさんはそう言っていた。