ご近所からは面倒見が大変よく、情に厚く、明るく気さくでとても好かれている母。
家では、長年体の不自由な父を献身的に支えてきた母。
家を出て一人暮らししている兄に、時々食糧を送り気遣う母。
朝から夜中まで仕事の毎日で疲れている私を気遣い、私の好物を買ってきてくれている母。

たった今、仕事から疲れて帰宅すると、私の部屋のテーブルに見慣れない紙が置いてあった。

その紙には、大きな文字で走り書きしてあった。

「死ね」

どうみても、母の字だった。

・・・母は私が鬱病で通院しているのを知らない。
母に心配かけまいと私も必死で生きてきた・・・。

私が死ねば母は少しは後悔してくれるのだろうか。
それとも、喜ぶのだろうか。
それすらもう、わからない。

書き置きが、捨てられない。