モズっていう鳥、知ってる?
捕まえたトカゲとか昆虫とかを木の枝に突き刺して保存食にする鳥で、『早贄(はやにえ)』っていう行動なんだって。
でも所詮は鳥だから刺したこと忘れちゃうんだって。
だから、刺さりっぱなしになっているのも田舎ではちらほら見かけた。
なんか懐かしい。

そういえば子どもの頃、じいちゃん家の山によく遊びに行ったなあ。
トカゲやカエルやバッタなんかが枝に刺さっているのは“モズ”の忘れ物だって、その時じいちゃんに教えてもらった。

で、ある時、しんごん山?だったか、じんこん山?っていう少し離れた山にじいちゃんとタケノコ掘りに行ったときのこと。
狐みたいな動物がすごく高い枝に刺さっているのを見つけて、「すげー!じいちゃん、見て!あれすげーよ!モズのはやにえだよ!」って指差したら、じいちゃんは険しい顔をして「あれはヒサルだ。もう帰ろう」って言ったのを覚えてる。

俺はタケノコ掘りすごく楽しみにしてて、「帰るのは嫌だ!」って駄々こねたけど、その時猛烈に怒られた。
じいちゃんに怒られたのはあれが最初で最後だった。

ヒサルがいる時は山に入っちゃいけないらしいが、なんか猿の仕業なのかなーとか思ってたけど、あれは何だったんだろ?

ヒサル?
非猿?

誰かしらない?