某女子大の学生だったころ、初夏の暑い日にクラスメイトと3人で千鳥が渕へ散策に行った。
途中、木々が生い茂っている一角があり、涼しそうなので、誰言うともなく、そっちに足が向いて、ひっそりした木立の中に入っていった。

入ってみると本当に涼しくて、どこかに座ろうと見回したら四阿があったので、そこに向かって進んで行くと・・・3人がほぼ同時に立ち止まった。

なんだか、ものすごく多勢の視線を感じて・・・。

「ねぇ、ここ何だか変だよね」

「うん、もう出よう!」

慌てて戻ると、入口に『戦没者墓苑』って表記が・・・。

(入る時になぜ、気づかなかったのだろう・・・)

先月、久しぶりに花見しに千鳥が渕に行った。
あの時の友達も一緒に。

『戦没者墓苑』の前まで行くと、あの時とはだいぶ趣が変わっていた。

友達が「あの時は何でここに入っちゃったんだろうね。呼ばれたのかな・・・」と。

彼女も私同様、あの時のことは忘れられない思い出なんだな、と思いました。