どうも自分の家系は、父母共にえらい因縁やら怨念を引き継いできたそうだ。
以下、寺の住職が自分や、あるいは親に話したもの。
まず母方の家系には、稲荷信仰をやってた先祖が憑いていると言う。
ただ、少し長くなるが、それは悪い狐が憑いたとか、そういう話ではないらしい。
「そもそも理解している人間が少ないが」と前置きされたのは、「『神』は万能でも無ければ、無限に力を持っている存在ではないんだ」ということだった。
お稲荷様に限らず、誰かがお祈りやお願いに訪れると、神はその願いをなるべく叶えてやろうと考え、参拝者に力を貸してやる。
ところが、ここで『借りた力を返しに来ない者』が必ずいる。
「願いが叶った、努力が実った」と、お稲荷様等の神様にお願いしたことを忘れる。
以下、寺の住職が自分や、あるいは親に話したもの。
まず母方の家系には、稲荷信仰をやってた先祖が憑いていると言う。
ただ、少し長くなるが、それは悪い狐が憑いたとか、そういう話ではないらしい。
「そもそも理解している人間が少ないが」と前置きされたのは、「『神』は万能でも無ければ、無限に力を持っている存在ではないんだ」ということだった。
お稲荷様に限らず、誰かがお祈りやお願いに訪れると、神はその願いをなるべく叶えてやろうと考え、参拝者に力を貸してやる。
ところが、ここで『借りた力を返しに来ない者』が必ずいる。
「願いが叶った、努力が実った」と、お稲荷様等の神様にお願いしたことを忘れる。
その話を聞いて、「その無礼な態度に怒って害を為すのか」と聞くと、そうでも無い。
この段階では、稲荷神は別に何をするでもなく、順番に力を貸してやるのだが、そのうち、本人(本神?)の力が足りなくなってきてしまう。
こうなるともう、新しい願いを無視するか、先に力を貸した人から、無理に返してもらうしかない。
つまるところ、『借金の取立て』。
今風に言えば『不良債権整理』だ。
稲荷信仰にどっぷり使っていたその先祖(商人)も、最初は上手くいっていたが、そのうち取り立てられる側に回り、何もかもがうまく行かなくなって、身代を潰したと言う話だった。
まずそいつの借金と、感じている悔しさ、辛さが圧し掛かっていると言う。
今度は父方の家系。
こっちはもっと深刻だ。
戦国時代だか何時代だかは解らないものの、私の先祖は位の高い武将・・・ではなく、そいつを討ち取ったようだ。
ただし、それは戦場でのこと。
もちろん褒美も出ただろうし、功を挙げて名も立っただろう。
だが、討たれた武将の家はそれで完全に傾き、一族郎党が路頭に迷い、最終的にどうにもならず、全員死んでしまった。
これにまず恨まれている。
ところが当の先祖自身すらも、そのことによって出世したは良いが、彼自身か、その子孫なのかはよく解らないが、父方の先祖もまた、高い地位を与えられたことによる責任から、心労でダメになって家を潰した。
「毎日生きた心地がしなかった上、今でも辛い。助けてくれ」と泣きついてきていると言う。
辛い辛いだけで、子孫に八つ当たりしているのだ。
まだある。
他には、詳細は覚えていないが、その先祖は正義感が強く、周囲の窮状を見て奮起し、世の為人の為に頑張っていたそうだが、理想に実力が伴うかどうかは別の問題で、途中からどうにもならなくなっていった。(先の討ち取られた武将一族の恨みとかが原因かも、等とも)
周囲の人間に失望されると自棄になり、「俺はこんな頑張ってるのに何でだ。あんなに頼ってちやほやしたくせに、何で掌を返すように冷たくなるんだ」と嘆いた挙句、自殺。
そいつがまた「お前らも俺と一緒になっちまえ」と、自分の子孫を呪っている。
他にも殺された赤子やら(母方のお婆ちゃん曰く)、淫乱性悪女やら、あんまりな内容で、それももう覚えきれないほどゴロゴロ出てくる。
さすがに、いくらなんでも理不尽すぎると腹が立った。
とにかく、内容に八つ当たりや逆恨み、自分が原因であるパターンが非常に多い。
戦場で討ち取られて恨むなんて、侍のくせに潔くないと反発を感じたり、自分が自殺したからって何で子孫を同じめにあわそうとするんだ、と。
そんな自分の言葉に答えて住職は、「そもそも怨念や因縁が、理論的なものな訳ないじゃないですか。ほとんどの場合、それは逆恨みや難癖で、相手に非があろうが無かろうが、相手はそんなことに関係無く、一方的に暗い感情を溜め込むものだし、対象を不幸にしたって、それで気が晴れたりなんかはしない。数人で恨みを晴らして成仏するようなら、まだ良心的ですよ」と言う。
まさしく『末代まで呪ってやる』の世界そのもの。
更に都合が悪いのは、親戚を見回しても、自分と同世代が一人も居ないこと。
妹が一人居るが、男性は自分一人。
何人かは結婚しているが、子供は一人も居ない。
本人達が望んでいる場合でさえも。
結局、父方と母方で別々に受け継がれてきた怨念(?)的なものは、最終的には、全部自分か妹へ、特に自分に来る可能性が高いと言われた。
まぁ、それだけなら迷信乙と言って済ますことも出来たのだが、じゃあ、実際のところ何があったか、という話で、普通大した事件は無かったり、偶然の事件がほとんどかとも思うけど・・・。
母の家系は、父の家に比べるとかなりマシ(それでも少しアレだが)で、問題は父の家。
まず父方の家は、それはもう酷い家で、父の母(自分にとってのお婆ちゃん)は、ある日突然父と父の兄を並んで座らせると、急に改まって、「私は明日から狂いますから、明日からは二人の力で生きていきなさい」と宣言し、そして実際におかしくなってしまった。
祖母は美人ながら、もともと欝の気があったそうだが、もう完全にダメ。
家事一つできなくなった。
自分がもの心付いた頃には、祖母(50代半ば)はもう完全にボケていた。
祖父もアル中で、祖母同様、もの心付いた頃にはボケていた。(昨年、脳の半分が壊死して植物状態になり、一年ほどして死んだ)
両親同様、親戚(後に夜逃げ→消息不明)もロクデナシばかりだった為、母が言うには、父は口癖のように「あんな人間(両親や親戚のこと)にだけはなりたくない」とボヤいていた。
ところがその父自身、事故現場に直面しても、救急車を呼ぶことすらしない人間。
それでもまぁその頃はまだ優しい所もあったらしく、両親は結婚。工芸関係の仕事を始めた。
自分が生まれ妹が生まれ、ちょっと小学校で苛められもしたが、まぁまぁ何とか暮らし、何度かの引っ越しの後、家を建てようということになり、家を建てた。
ところが、その家が傾いていた。
土台の沈下で、現在進行形で酷くなってる。
更に、家を建てた建築会社がこちらを訴えてきた。
で、父はその後ショックで酒量が増え・・・色々省略。
重要なのは、きっかけそのものは、父に原因は無かったということ。
結局父は、その『なりたくない人間』そのものになった。
全部話してると長くなるので詳細はカットするけど、人間としてのクズ要素を一通り備えていると想像してくれれば、現在の父の人物像はだいたい合ってる。
母は数年間、豹変した父に付き合いつつも一人で家庭を支えていが、さすがに離婚した。(もともと離婚しろと喚いていたのは父だったのだが、保留していた)
住宅裁判で支払われた賠償金は全額借金の返済に充てる、という条件で父が受け取ったが、株に使い込んで全部消えた為、自己破産を申請した。
母方の親戚には連帯保証人を頼んでいた為、当然、母は親戚関係と絶縁状態に。
それでも、さあこれから新しい人生を、という時になってガン。
手術は成功したが、転移率が中々高いそうで、人生終了・・・。
自分は父とも連絡をとれる状態だが、連絡はとっていない。
・・・何が怖いかと言えば、自分が上の話を聞いていたのは前々からだけど、だからそ逆に、そんな怨念に負けるか、気をつけて生きるんだ、と思っていた。
だが、父が「あんな人間にだけはなりたくない」とボヤいていた話は、つい最近知ったんだ。
そして自分もまた、「父のような人間にだけはなりたくない」と普段からボヤいていた。
若い頃の父の言葉をこの前母から聞いて、目の前が真っ暗になった。
何時か、何時か自分も、あのような人間になってしまうのではないかと。
という訳で俺は今、その傾いた家に一人で住んでいます。
この段階では、稲荷神は別に何をするでもなく、順番に力を貸してやるのだが、そのうち、本人(本神?)の力が足りなくなってきてしまう。
こうなるともう、新しい願いを無視するか、先に力を貸した人から、無理に返してもらうしかない。
つまるところ、『借金の取立て』。
今風に言えば『不良債権整理』だ。
稲荷信仰にどっぷり使っていたその先祖(商人)も、最初は上手くいっていたが、そのうち取り立てられる側に回り、何もかもがうまく行かなくなって、身代を潰したと言う話だった。
まずそいつの借金と、感じている悔しさ、辛さが圧し掛かっていると言う。
今度は父方の家系。
こっちはもっと深刻だ。
戦国時代だか何時代だかは解らないものの、私の先祖は位の高い武将・・・ではなく、そいつを討ち取ったようだ。
ただし、それは戦場でのこと。
もちろん褒美も出ただろうし、功を挙げて名も立っただろう。
だが、討たれた武将の家はそれで完全に傾き、一族郎党が路頭に迷い、最終的にどうにもならず、全員死んでしまった。
これにまず恨まれている。
ところが当の先祖自身すらも、そのことによって出世したは良いが、彼自身か、その子孫なのかはよく解らないが、父方の先祖もまた、高い地位を与えられたことによる責任から、心労でダメになって家を潰した。
「毎日生きた心地がしなかった上、今でも辛い。助けてくれ」と泣きついてきていると言う。
辛い辛いだけで、子孫に八つ当たりしているのだ。
まだある。
他には、詳細は覚えていないが、その先祖は正義感が強く、周囲の窮状を見て奮起し、世の為人の為に頑張っていたそうだが、理想に実力が伴うかどうかは別の問題で、途中からどうにもならなくなっていった。(先の討ち取られた武将一族の恨みとかが原因かも、等とも)
周囲の人間に失望されると自棄になり、「俺はこんな頑張ってるのに何でだ。あんなに頼ってちやほやしたくせに、何で掌を返すように冷たくなるんだ」と嘆いた挙句、自殺。
そいつがまた「お前らも俺と一緒になっちまえ」と、自分の子孫を呪っている。
他にも殺された赤子やら(母方のお婆ちゃん曰く)、淫乱性悪女やら、あんまりな内容で、それももう覚えきれないほどゴロゴロ出てくる。
さすがに、いくらなんでも理不尽すぎると腹が立った。
とにかく、内容に八つ当たりや逆恨み、自分が原因であるパターンが非常に多い。
戦場で討ち取られて恨むなんて、侍のくせに潔くないと反発を感じたり、自分が自殺したからって何で子孫を同じめにあわそうとするんだ、と。
そんな自分の言葉に答えて住職は、「そもそも怨念や因縁が、理論的なものな訳ないじゃないですか。ほとんどの場合、それは逆恨みや難癖で、相手に非があろうが無かろうが、相手はそんなことに関係無く、一方的に暗い感情を溜め込むものだし、対象を不幸にしたって、それで気が晴れたりなんかはしない。数人で恨みを晴らして成仏するようなら、まだ良心的ですよ」と言う。
まさしく『末代まで呪ってやる』の世界そのもの。
更に都合が悪いのは、親戚を見回しても、自分と同世代が一人も居ないこと。
妹が一人居るが、男性は自分一人。
何人かは結婚しているが、子供は一人も居ない。
本人達が望んでいる場合でさえも。
結局、父方と母方で別々に受け継がれてきた怨念(?)的なものは、最終的には、全部自分か妹へ、特に自分に来る可能性が高いと言われた。
まぁ、それだけなら迷信乙と言って済ますことも出来たのだが、じゃあ、実際のところ何があったか、という話で、普通大した事件は無かったり、偶然の事件がほとんどかとも思うけど・・・。
母の家系は、父の家に比べるとかなりマシ(それでも少しアレだが)で、問題は父の家。
まず父方の家は、それはもう酷い家で、父の母(自分にとってのお婆ちゃん)は、ある日突然父と父の兄を並んで座らせると、急に改まって、「私は明日から狂いますから、明日からは二人の力で生きていきなさい」と宣言し、そして実際におかしくなってしまった。
祖母は美人ながら、もともと欝の気があったそうだが、もう完全にダメ。
家事一つできなくなった。
自分がもの心付いた頃には、祖母(50代半ば)はもう完全にボケていた。
祖父もアル中で、祖母同様、もの心付いた頃にはボケていた。(昨年、脳の半分が壊死して植物状態になり、一年ほどして死んだ)
両親同様、親戚(後に夜逃げ→消息不明)もロクデナシばかりだった為、母が言うには、父は口癖のように「あんな人間(両親や親戚のこと)にだけはなりたくない」とボヤいていた。
ところがその父自身、事故現場に直面しても、救急車を呼ぶことすらしない人間。
それでもまぁその頃はまだ優しい所もあったらしく、両親は結婚。工芸関係の仕事を始めた。
自分が生まれ妹が生まれ、ちょっと小学校で苛められもしたが、まぁまぁ何とか暮らし、何度かの引っ越しの後、家を建てようということになり、家を建てた。
ところが、その家が傾いていた。
土台の沈下で、現在進行形で酷くなってる。
更に、家を建てた建築会社がこちらを訴えてきた。
で、父はその後ショックで酒量が増え・・・色々省略。
重要なのは、きっかけそのものは、父に原因は無かったということ。
結局父は、その『なりたくない人間』そのものになった。
全部話してると長くなるので詳細はカットするけど、人間としてのクズ要素を一通り備えていると想像してくれれば、現在の父の人物像はだいたい合ってる。
母は数年間、豹変した父に付き合いつつも一人で家庭を支えていが、さすがに離婚した。(もともと離婚しろと喚いていたのは父だったのだが、保留していた)
住宅裁判で支払われた賠償金は全額借金の返済に充てる、という条件で父が受け取ったが、株に使い込んで全部消えた為、自己破産を申請した。
母方の親戚には連帯保証人を頼んでいた為、当然、母は親戚関係と絶縁状態に。
それでも、さあこれから新しい人生を、という時になってガン。
手術は成功したが、転移率が中々高いそうで、人生終了・・・。
自分は父とも連絡をとれる状態だが、連絡はとっていない。
・・・何が怖いかと言えば、自分が上の話を聞いていたのは前々からだけど、だからそ逆に、そんな怨念に負けるか、気をつけて生きるんだ、と思っていた。
だが、父が「あんな人間にだけはなりたくない」とボヤいていた話は、つい最近知ったんだ。
そして自分もまた、「父のような人間にだけはなりたくない」と普段からボヤいていた。
若い頃の父の言葉をこの前母から聞いて、目の前が真っ暗になった。
何時か、何時か自分も、あのような人間になってしまうのではないかと。
という訳で俺は今、その傾いた家に一人で住んでいます。
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