私はまったく覚えていないんだが、時々おつげじみたことをするらしい。

最初は学生の頃。
提出するレポートが完成間近の時にワープロがクラッシュ。
残り三日ほどでもう一度書き上げなくてはならないハメに陥った時。

三日間ろくに睡眠もとらず、どうにか書き上げて提出にこぎつけることができたが、すでに限界を突破していた私は、家に帰るなりリビングでスイッチが切れたごとく眠りについてしまった。

しばらくして目が覚めたとき、なぜか家族がまるで異様なものを見るような目で私を見ていることに気がついた。
話を聞くと、リビングでそのまま突っ伏して寝ていた私はいきなり起き上がり、まずは父に向かって「上の兄に連絡をとれ、体を悪くしている」といい、次は母に「探しているものは左の引き出しの奥にある、引き出しを外してみろ」といい、と。

次は兄に「あの家はやめておけ。理由がしりたければ二軒隣の婆さんに聞いてみろ」というだけ言ってまた眠ってしまったとのこと。

これだけならただ妙な寝ぼけ方をしたという話なんだが・・・翌朝言われたとおり電話をした父は兄が心臓を悪くして昨夜救急車で運ばれたと聞かされ、母は言われたとおりの場所から探していた保険の書類を見つけ、兄は買おうと思っていた中古の家が実は事故物件であったのを知ったそうだ。

偶然といえば偶然なのだが、このお告げはそのあとも幾度かあり、それもすべて的中というのが不思議でたまらない。