その日、私は友人の田中、そして飯田と遊ぶ約束をしていました。

集まったのは飯田の家。
天気もよく、一日だらだら過ごしていました。
すると、飯田が「ちょっと出掛ける」と言いのこし、出掛けていきました。

私達は2人でキャッチボールをして飯田が帰ってくるのを待つことにしましたが、30分ほどたった頃、遠くから飯田の単車の音が聞こえてきました。
どうやら飯田は別の友人を迎えに行っていたようでした。
その友人は飯田のバイク仲間のようで、特徴のあるヘルメットを持っていました。

さて、鍋でもしようということになり、私たちは部屋に入りました。
2人はキッチンへ行き、私とその友人はテーブルを簡単に片づけていました。

彼はとても鋭い眼つきの人物で・・・私はあまり話さずにいました。
なぜなら彼は私に関心が全く無いかのようにキッチンにいる飯田をずっと見ていたからです。

そうこうしているうちに時間は夜の11時を大きくまわっていました。
私達はそれぞれ帰路につきましたが、彼は帰る様子もなく、そのまま飯田の家に残る様子でした。

次の日の夜、私たちは再び集まり例の彼のことを飯田に聞いてみました。

私「昨日のあいつはどこの誰なんだ?」

飯田「昨日の奴って、誰のことだ?」

私「昨日、単車で出て行ったときに連れて帰ってきたアイツじゃないか!」

ところが、話が噛み合いません。
何度聞いても飯田は、「誰も迎えに行ってないし、連れてもきてない」と言うのです。

とうとう、私たち3人はパニック状態になり誰かが言いました。

「なら・・・あれは・・・」

しかし、本当の恐怖は次の日にやって来ました。
夜7時半ごろ電話があり・・・なんと、飯田が単車の事故で死んだと言うのです。

翌日、お葬式へ行く途中、私達は事故現場を見に行くことにしました。
現場には大破した飯田の単車の残骸がまだ生々しく置いてありました。

ところが、大破した単車のすぐそばには、なんと飯田が連れてきた、あの友人がかぶっていた特徴あるヘルメットが転がっていたのです。

あれから随分経ちますが、この時期になるとあの事件が思い出されます。
彼は一体何だったのか?

この話はまだ終わりをむかえていないのかもしれません。