ベッドで寝ていたら、足の指を舐められる感触に目がさめた。
足下を見ていると、小学生高学年くらいの女の子がいた。
色白の痩せた子でちょっと妹に似ていた。

女の子はおしゃぶりを舐めるかのように、ちゅぱちゅぱと右足の親指を舐めていた。
そのあまりもの違和感に、背筋がぞっとした。
間違いなく、女の子は幽霊だった。
俺の直感が、そう示唆していたのだ。

やがて女の子は仰向けの俺の体に抱きつく格好で、首筋、腕を舌で愛撫してきた。
動けない。
金縛りに遭ったように動けない。

誰だ?誰なんだ?

・・・そういえば、俺が小さい頃に母が流産した三人目の妹がいた。
生きていたら、ちょうどこの女の子くらいの歳だ。
二人目の妹の面影のあるその子に、聞いてみた。

俺「あなたは、流産した僕の妹ですか」

すると女の子はぎょっと目を見開いて、舐めていた指先をギリギリと噛みはじめた。

痛い!ちぎれそうだ!

俺が苦悶の表情を浮かべると、やがて彼女は指から離れた。
そしてニタッと笑って、唇にキスをした。

翌日、母に訪ねたら、確かに流産した子は存在して、今は当時暮らしていた遠い田舎に眠っているという。

「でもね、まだ小さかったから言えなかったけどね、・・・実はあの子、経済的な理由で中絶したの」

俺は、怠けていた受験勉強を、頑張ることにした。