3年前に住んでいた家(一軒家)でのある夜の話。

いつものように一日が終わり、二階の自室で眠りにつくまでベッドで本を読んでいた。
しばらくして、一階から猫の鳴き声が聞こえて来た。

「アゥオーン!ギャゥオーン!」

猫が喧嘩をする時の独特の声だ。
うちの猫は一階ならどこでも勝手に出入りできるようにしてあり、お気に入りは庭をとおして家の前の通りがよく見える窓のある部屋。
夜はその窓辺で寝てたから、野良ちゃんと窓越しに喧嘩することもしばしば。
やれやれと思いながらその部屋に入り、まず猫をどかした。
そしてカーテンを開けたら、髪がボサボサで目をギョロつかせた中年の女が窓にへばり付いていた。
両手をべったりつけてこちらを睨み付けて・・・。
歯茎まで剥き出しにして窓の縁に噛み付いていた。

「ひっっ!!!」

リアルにこんな声が出た。
部屋は電気を点けていなかったからはっきり見えた。
動くことも出来ずにいると、不意にその女はいなくなった。
もちろんすぐに警察に連絡したけど女は見つからず・・・。

それ以来引っ越すまで猫は私の部屋で寝かせた。
家を空ける時も二階に置いておくようにした。
今も私の隣にいる。