10年以上前の夏頃。

夜遅く会社から帰宅、すぐ蒲団に横になった。
疲れてたからすぐに眠ったと思ったんだが、変な夢を見始めた。
会社の上司が出てきて自分の周りを忙しく動く。
夢でも仕事だから忙しいのは別に構わない。
しかし、その上司の動きが、寝ている自分の身近にあることを感じた。

頭の方向から腕の脇へワサワサと移動し、また頭のほうへワサワサ戻る気配。(夢に出てくる上司の動きと連動)

上記の動きを数回繰り返した後、“それ”はイキナリ頭から覆いかぶさってきた。
真っ黒で、毛足の長~い絨毯みたいなのが。

その黒い絨毯はワサワサ動きながら足の方に向かうのだが、自分は金縛りにあったかのように動けず、唇の端から「うぅぅぅうぅう」と声が漏れるだけ。
このまま覆い尽くされたらこりゃマズくね?と焦り、黒い絨毯が膝の辺りまで覆って来たところで、「ぬ゛ぁ゛ーッ!」と気合を入れて腕で振り払った。

その瞬間、黒い絨毯の中に居たと思われる“男の右腕”にガンッと当たり、その拍子に自分は完全覚醒し、ガバっと身体を起こした。

時間は午前一時頃。

暑くて開け放してた窓からは、ぬめっとした感じのヌルイ風。
低気圧で厚くドンヨリした雲の合い間から、煌々と照る月。
太陽が昇るまで眠れなかった。

少し眠った後の朝食時、霊感持ちの親に話をしたら、「その腕はねぇ、よく出るのよ。いつもせっせと何かしてるんだけど、何もしては来ないのにね」と。

先に言っといてくれよー。