友人の一人が、彼女と温泉に旅行へ行った時の話です。
ちなみにその友人は、霊とか、オカルトなものを信じない男。
午前三時。
彼女も彼本人も寝静まっていた時、「ペェン・・・ペェン・・・」と、どこからか、三味線の音が聞こえてきて彼は目を覚ました。
寝直そうと思ったが、どうもその音が耳について離れない。
彼「ちくしょー、誰だよこんな時間に宴会かコノヤロー」
彼はちょっと文句つけに行こうと浴衣を着て、まず隣の部屋の前に行ってみた。
ところが何も聞こえてこない。
近くに宴会場があったからそこからか・・・?とも思ったが、宴会場は真っ暗、音も聞こえない
ちなみにその友人は、霊とか、オカルトなものを信じない男。
午前三時。
彼女も彼本人も寝静まっていた時、「ペェン・・・ペェン・・・」と、どこからか、三味線の音が聞こえてきて彼は目を覚ました。
寝直そうと思ったが、どうもその音が耳について離れない。
彼「ちくしょー、誰だよこんな時間に宴会かコノヤロー」
彼はちょっと文句つけに行こうと浴衣を着て、まず隣の部屋の前に行ってみた。
ところが何も聞こえてこない。
近くに宴会場があったからそこからか・・・?とも思ったが、宴会場は真っ暗、音も聞こえない
部屋に戻っても三味線の音は聞こえている。
彼は一つの結論を見いだした。
彼「間違いない。この音はこの部屋のどこかからか聞こえてくる」
彼女を起こそうとしたが、熟睡しているらしくいっこうに起きようとしない。
仕方なく彼は一人で、三味線の音がする方向へ向かって行った。
押し入れである。
どうも押し入れの中から、「ペェン・・・ペェン・・・」と聞こえてくるようなのだ。
彼「そうか・・・誰か押し入れに忍び込んでるんだな!」
最初に書いたように、彼は霊を全く信じない。
だから怖いというより好奇心と少々の怒りを持って押し入れの襖を勢いよく開けたのだ。
襖を開け放った彼は、少し驚愕した。
押し入れの中に、もう一つの扉。
やっと人間の顔が入るくらいの小さな扉が、押し入れの中の壁にあったのだ。
「ペェン・・・ペェン・・・」
音はなおも聞こえる。
さっきよりさらに大きく、確実に。
もはや誰かがその扉の向こうで三味線を弾いているのは明らかだった。
さすがの彼も少し恐ろしくなったが、もう後には引けないとも直感的に感じた。
観音開きの扉にそっと手をかけ、ゆっくり、少しずつ開けて行く。
完全に扉を開け放ち、彼は思い切って顔を扉の中へ突き出してみた。
そこは完全な漆黒の闇、のはずなのだが、ボウッと光る何かがその中に居た。
芸者さんが青白く、ぼんやりと闇の中に浮いていたのだ。
彼は一瞬あっけにとられて、その芸者さんと対峙していたのだが、「ああ、近くに宴会場があるから、練習でもしてるのかぁ」と勝手に解釈をした。
その時、芸者さんがペコリと頭を下げた。
その瞬間「ペェン」また頭を下げ「ペェン」と、その時、彼は恐怖で身が凍り付くような事実を知ってしまった。
芸者は浮世絵風の張り紙だった。
それがはらりと折れるたび、「ペェン」と三味線の音がするのだった。
彼「うううううわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
扉を乱暴に閉め、襖を閉め、寝ている彼女を叩き起こし、フロントの人を無理矢理引っ張ってきて、そこを再確認したら、もう芸者さんの張り紙は無かった。
ただ小さな扉はあって、そこには小さな空間が広がっているばかり。
ホテルの人「ああ・・・やっぱり見てしまいましたか・・・」
ホテルの人の話では、数十年前、すごい人気の芸者がその温泉街に居て、熱狂的なファンがホテルの宴会場の控え室でその芸者を殺し、自殺したという事件があったらしい。
その控え室は客部屋に改装されたのだが、「芸者の霊が部屋に立っている」という話が後を絶たないため、その殺されていた現場を囲い、押し入れで隠してしまったらしいのだ。
もちろん彼は部屋を変えてもらい、そのホテルも一泊で別の所へ移った。
そのホテルは今もあるが、部屋がそのままあるかは解らない。
彼は一つの結論を見いだした。
彼「間違いない。この音はこの部屋のどこかからか聞こえてくる」
彼女を起こそうとしたが、熟睡しているらしくいっこうに起きようとしない。
仕方なく彼は一人で、三味線の音がする方向へ向かって行った。
押し入れである。
どうも押し入れの中から、「ペェン・・・ペェン・・・」と聞こえてくるようなのだ。
彼「そうか・・・誰か押し入れに忍び込んでるんだな!」
最初に書いたように、彼は霊を全く信じない。
だから怖いというより好奇心と少々の怒りを持って押し入れの襖を勢いよく開けたのだ。
襖を開け放った彼は、少し驚愕した。
押し入れの中に、もう一つの扉。
やっと人間の顔が入るくらいの小さな扉が、押し入れの中の壁にあったのだ。
「ペェン・・・ペェン・・・」
音はなおも聞こえる。
さっきよりさらに大きく、確実に。
もはや誰かがその扉の向こうで三味線を弾いているのは明らかだった。
さすがの彼も少し恐ろしくなったが、もう後には引けないとも直感的に感じた。
観音開きの扉にそっと手をかけ、ゆっくり、少しずつ開けて行く。
完全に扉を開け放ち、彼は思い切って顔を扉の中へ突き出してみた。
そこは完全な漆黒の闇、のはずなのだが、ボウッと光る何かがその中に居た。
芸者さんが青白く、ぼんやりと闇の中に浮いていたのだ。
彼は一瞬あっけにとられて、その芸者さんと対峙していたのだが、「ああ、近くに宴会場があるから、練習でもしてるのかぁ」と勝手に解釈をした。
その時、芸者さんがペコリと頭を下げた。
その瞬間「ペェン」また頭を下げ「ペェン」と、その時、彼は恐怖で身が凍り付くような事実を知ってしまった。
芸者は浮世絵風の張り紙だった。
それがはらりと折れるたび、「ペェン」と三味線の音がするのだった。
彼「うううううわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
扉を乱暴に閉め、襖を閉め、寝ている彼女を叩き起こし、フロントの人を無理矢理引っ張ってきて、そこを再確認したら、もう芸者さんの張り紙は無かった。
ただ小さな扉はあって、そこには小さな空間が広がっているばかり。
ホテルの人「ああ・・・やっぱり見てしまいましたか・・・」
ホテルの人の話では、数十年前、すごい人気の芸者がその温泉街に居て、熱狂的なファンがホテルの宴会場の控え室でその芸者を殺し、自殺したという事件があったらしい。
その控え室は客部屋に改装されたのだが、「芸者の霊が部屋に立っている」という話が後を絶たないため、その殺されていた現場を囲い、押し入れで隠してしまったらしいのだ。
もちろん彼は部屋を変えてもらい、そのホテルも一泊で別の所へ移った。
そのホテルは今もあるが、部屋がそのままあるかは解らない。
コメント