俺はもういわゆるおっさんやけど、20年くらい前の話。

俺は高校一年で、親友も同じ高校で、いろいろアホしてたんやけど、彼にも彼女ができまして、色々のろけ話を聞いてました。

まぁそんな平穏な日々が続いてたんですけど、まぁガキのことですから彼女との喧嘩もあったりして、なんか別れ話とかなった。
相談はされてたんやけど、まぁ悪いのは奴やから、謝れっと言ってたんですけど、奴(Sとこれから書きます)は意地っ張りで、なんかかんや言い訳つくって謝らんと。

雨がめっちゃ降ってた日の晩です。
突然Sが俺の家に訪ねて来ました。

俺は寝てたので(実家の二階)、何か音するなっと思い窓を開けると、Sがずぶ濡れで立っていました。

おいおい、と思いながら下に降り玄関錠を開け、Sに「なんや?」と聞いたら、Sは「色々考えたんやけど、明日彼女に謝るわ」って。

俺はちょっとむかついた。

俺「お前な、そんなこと電話でもええし、明日また学校で会うんやからこんな時間にくんなよ」

S「そやな・・でもお前にいいたかってん」

俺「あほか、傘もささずにきてズブ濡れやん」

S「ほんまやなぁ・・・なんで傘差さんときたんやろ?」

俺「お前あほやなぁ」

S「やっぱ俺あほかなぁ・・・」

しばしww。

S「ほな帰るわ」

俺「そうか、あっ傘かしたるわ、今更かもしれんけど」

S「ほな借りていくわ。じゃぁまた明日学校でな」

俺「おぅわかった。気ぃつけてな」

なんやあいつほんまにあほちゃうか??まぁええわ、寝るか。
でも寝起きのため喉がかわいたたので、冷蔵庫を開けると牛乳があり、それをコップに移して一気飲み。
喉の渇きもいえたので、二階に上がって、自分の部屋に入ると電気がついてなかった。

俺「おかしいな、つけやんと下におりたんかな?」

で、電気をつけるとそこには・・・。

ベッドに誰かが寝ている・・・誰??
あまり恐怖を感じなく、ベッドのそばに行き、そ~っと布団をめくると・・・。

俺「俺???」

そう俺が寝ていた。

俺「???」

俺がここに立ってて、もう一人の俺が寝ていて・・・なぜ??
しばらく放心状態でいると急に意識が遠のき、気を失っていた。

気づくと朝だった。
普通にベッドの上で目が覚めた。

俺「夢か・・・」

なにげなくそう思い、下に降りて行くと、台所に飲み終えた牛乳のコップが・・・。

俺「・・・親父が飲んだんやな」

そう言い聞かし、学校の用意をして家を出た。

雨は上がっていた。
それとも雨は降ってなかったのか?いや水たまりはある。
あまり深く考えるのをやめ、学校へ向かって行った。

何気ないいつもの日常だ。
曲がり角を曲がったときSに出会った。
おはようと声をかける前にSが喋り出した。

Sは笑いながら「昨日変な夢みてやぁ」と。

変な夢??俺はなにも言わずに黙ってSの話を聞いていた。

S「なんかやぁ、お前ん家行く夢みてさぁ、なんか俺、お前に彼女の話してんの。ずぶ濡れになって。わけわからん夢やけど、リアルに覚えてるわ」

・・・ちょっとまて。

俺「お、お前それ夢か!?」

S「夢に決まってるやろ。お前も何言ってんねん。そんなん雨に打たれていくわけないやろ。実際朝起きたらジャージ濡れてなかったし、おかんもなんも言って無かったし。・・・どないかしたんか?」

・・・わけが分からない。
お互い夢の中で会ってたのか?
幽体離脱ってやつか?二人同時に??・・・俺は口を開いた。

俺「お・・・俺も同じ夢みたわ・・・」

S「またまたぁビビらせよう思って」

俺「いやほんまや。お前俺の家来て、彼女に謝るっていうたやろ?」

S「!!!そ、それほんまか。俺そこまで言って無いよな」

俺「・・・」

S「・・・」

あっ!!

S「どないしてん、びっくりさせんなや!」

俺「俺・・夢の中でお前に傘・・・貸したよな・・・」

S「・・・かりたな」

俺「お前今すぐ帰って傘確認せぇ!!!」

S「学校はどないすんねん??」

俺「それどころやないやろ!」

俺「俺も家帰って傘確認するから、家ついたら電話してきてくれ!!」

S「・・・分かったわ・・・電話するわ」

俺「じゃあな!急ぎやぞ!!ええな!」

・・・家までどうやって帰ったのかあまり覚えていない。
走りすぎたのか、恐怖、不安なのか、心臓がバクバクいっていた。

・・・家に着いた。
玄関を開ける・・・。
恐る恐る傘を確認する・・・。

やっぱり無い・・・。
あの傘は最近使ったばかりで誰にも貸していない。
しばらく突っ立っていると、電話のベルが俺をビビらせた。

俺「もしもし・・・」

S『・・・』

俺「もしもし???」

S『・・・あ・・・あった』

俺「Sか??」

S『夢で借りた傘・・・俺ん家にあった・・・そんでな・・・傘・・・濡れてんねん』

俺「どういうことや???」

S『わからん・・・』

もう20年以上前の話です。
いまだに理解できていません。
どこまでが夢だとか現実なのか・・・。

友人、知人、妻に聞いても皆???で、答えようがないといってます。
今はそんなに見ないのですが、昔はチョコチョコ居るはずの無いものが見えてました。
それも原因があるのかもしれません。