18年前に神戸市水道局管轄の釣り禁止ダムに行った時の話。

釣り禁止とはいえ橋より川上は釣り禁止じゃないんだけどさ。
川沿いの脇道をあるいてさらに上流部を目指すと途中でかなり川と離れる地点がある。
その場所に来た時、ツンッと鼻につく臭い。
なんていうのかな、動物園のような臭さ。

ケモノの臭い?

用心しながら奥に進んでいくと道端にタヌキが死んでいた。

「なあんだ、臭いの正体はこれかぁ」

安心したのも束の間、道横の雑木林の中はタヌキ・イタチ・キジ・ウリ坊・野犬など様々な動物
の死骸が散乱している!

ギョッとして見渡しているとかなり奥の方で何か大きなものが動いている。
足音をたてないようにゆっくりと近づくと巨大なイノシシが倒れている。
どうやら死にかけのようだ。

そしてブーンというかなり大きな音。
イノシシの上3メートルくらいに黒っぽい塊がある。

ウエストポーチからオペグラスを取り出して覗いてみると、なんと黒い塊は全てスズメバチの集団!

うぉ、めっちゃヤバイ!

そう思いつつも今度はイノシシを見てみると、かろうじて生きてはいるものの絶命寸前のようだ。

最初はここら一体の死骸は誰かが撒いた毒エサかなんかかと思ったが、この犯人はもしやスズメバチなのではと思いつつさらに観察。

すると・・・倒れているイノシシに何か取り付いている。
体長15センチほどの真っ黒な小動物が5匹ほど!

さらに目を凝らしてよく見るとそいつは真っ黒で巨大なスズメバチのような謎の生物!

なんだこれ、日本にこんなでかいハチがいるなんて聞いたことないぞ!?

そのときイノシシの上にあったスズメバチの集団が一斉に散った。

これはメチャメチャヤバイ!と思った瞬間耳元でブオォォォという不快な羽音が、例の巨大なハチのバケモノだ!

俺は弾けるようにその場からダッシュ!
スズメバチたちは追いかけてきたが途中でパッタリと追撃してこなくなったみたいだ。

命からがら逃げ帰り、爺ちゃんにその話をしたら「わしの田舎でも同じ話を聞いたことがある。おそらく『スズメバチのふったち』だろう」と教えてくれた。

ふったちというのは何でも動物とかが長生きしすぎて妖怪化したものだとか。
しかし俺の考えは少し違ってあれはスズメバチの4倍体ではないか思った。

オチは特にない。
おしまい。