ウチの親戚のおじさんが20年前に南国の島で潜水レースに出た。
映画のグレートブルーに出て来る競技ね。

で、自己新記録作りたくて深く深く真昼の太陽が届かなくなるほど深い水深まで潜水した。
一定のポイントに着くとレスキューチームがいるんだけど、様子がおかしい。
持っている海中電灯をしきりにあちこち照らしてパニクっている。

おじさんも自分の記録を破りたかったけど、どうしてもまわりの雰囲気の異変が気になる。
で、二人いたレスキューチームの内、一人が一定の方向に海中電灯を向けて固まった。

そこには巨大な目があった。大の大人をゆうに超えるグリグリとした目が。
おじさんもそれを見てパニックになったけど、緊急浮上すると水圧で内蔵を痛める。

でも逃げ出したい。
三人ともしばらくその巨大な目を見て硬直。
するとふっと海中電灯の灯から目が消えた。

その瞬間、強い海流もないのに廻りで凄い渦が巻いた。
危うく命綱から身体が吹っ飛ばされそうになった。

しばらくしてからゆっくり浮上して、船で待機してるコーチに説明したけど『魚の大群でも見たんだろ』と取り合ってくれない。
一緒に見たレスキューチームの人は「巨大イカだ!」と興奮していたけどまわりはマジに取り合ってくれない。

それ以来おじさんはその島には行ってないけど、おじさんは今でも「俺が見たのは神話とかに出てくるクラーケンだったんじゃないか?」と言い張っている。