他者にとって怖いかどうかは解りませんが、私にとっては唯一であり、かなり洒落にならないくらい怖かった出来事。
実話ですが、時間が経った今は、もしかしたら夢だったんじゃないかと思ってます。
もう20年近く前のことですが、あれは私が大学生の夏のことでした。
サークル仲間総勢20人ほどで、伊豆の海に夏合宿と称して3泊4日で遊びに行きました。
初日は道中にある遊園地で遊び、夕方頃に宿泊先のペンションに到着。
夕食を摂って大宴会をして就寝。
2日目は朝から海で大はしゃぎし、夜はやっぱり大宴会。
3日目も朝から海で遊び、ペンションは貸切だったため、夕食を少し早めにしてもらい、暗くなった頃に花火をするという予定でした。
実話ですが、時間が経った今は、もしかしたら夢だったんじゃないかと思ってます。
もう20年近く前のことですが、あれは私が大学生の夏のことでした。
サークル仲間総勢20人ほどで、伊豆の海に夏合宿と称して3泊4日で遊びに行きました。
初日は道中にある遊園地で遊び、夕方頃に宿泊先のペンションに到着。
夕食を摂って大宴会をして就寝。
2日目は朝から海で大はしゃぎし、夜はやっぱり大宴会。
3日目も朝から海で遊び、ペンションは貸切だったため、夕食を少し早めにしてもらい、暗くなった頃に花火をするという予定でした。
花火をする場所は、火サスなどでもよくでてくる有名な高い吊橋のところに、ちょっとした広場があるのでそこでしようということになっていました。
吊り橋を渡って少し行ったところにその場所があるので、みんなで「吊り橋こえー!」などと馬鹿丸出しでワイワイ喋りながら渡っていた時に、ドッポーーーン!!という結構大きな、何かが海に落ちる音が聞こえました。
誰かバカな奴が石でも投げ込んだのでしょう。
「あんま余計なことすんなよ~」とサークルの代表者も注意しました。
そしていざ目的の場所に着いた時。
バカな後輩二人組が「ちょっとその辺見てこよーぜ」と花火の準備をサボって周囲を散策に行きました。
少ししたら「大変だーーー!誰かすぐきてーーー!」という後輩たちの声がしたので、みんなで行ってみました。
どうせエロ本でもみっけたんだろうと小学生レベルの想像をしていたのですが、ことはそれほど簡単なものではなかったのです。
後輩たちの指差す方を見ると、そこには女性ものの靴が揃えて置いてあり、隣に鞄、その上に封筒が置いてありました。
「・・・これって・・・自殺のあと?」
誰かが言いました。
状況から見るに、そうとしか思えません。
ほとんどのメンバーがかなり深刻な顔になって、黙りこくっていたのですが、発見したバカな後輩たちはバカゆえに逆に大はしゃぎしている状態です。
それに同じレベルのバカな私の同期も加わってしまいました。
そしてついに封筒を開けてしまいました。
『遺書』
そう書かれた紙が出てきて、こともあろうか後輩たちはそれを音読しだしたのです。
「やめろ!」と注意するも、テンションマックスの後輩たちは止まりませんでした。
内容を要約すると「数百万円の借金があります。もうどうしようもないので、犬と一緒に死にます。私の生命保険で返済してください」というものでした。
とりあえずすぐに警察に連絡しなきゃということで、携帯電話で警察に連絡しました。
もはや花火どころではありません。
女子のメンバーの何人かは泣き出しちゃうし、先輩たちも落ち着こうとしているけど、静かにテンション上がっちゃってるし。
ほどなくして警察が来て、事情聴取が始まりました。
発見時の詳細や、なぜここに来たのか?などを細々聞かれました。
封筒の中身を開けて読んでしまったバカ後輩たちと同期は、警察にバッチリ怒られていました。
当然花火は中止となり、ペンションに帰ると、事前に連絡をしておいた女将さんが塩を持って待っていました。
「いや~、大変だったね~。嫌な思いしたかもしれないけど、早く忘れちゃいな~」
そう言って、みんなに塩をかけてくれました。
その夜はやはり自殺現場発見の件で話題は持ちきりに。
お酒を飲みながら「4桁万円後半とか億単位だったらわかるけど、数百万で死んじゃダメだよな~」とか。
他にも「一番かわいそうなのは犬だよな」「夜のお散歩うれしーなー。え!?キャワーーーンだったのかな?」とか、めちゃくちゃ勝手なことを言いながら合宿最後の宴会をして、明日の帰宅に備えて少し早めに就寝しました。
最終日は台風が近づいていることもあり、伊豆のちょっとした公園に寄って、そのまま帰ることにしました。
公園に寄っている時、台風の影響でやたらと風が強かったというのを記憶しています。
台風の足は意外と速く、帰りの高速道路では暴風雨の中を運転することとなり、ドライバーだった私はかなり疲れました。
なんとか事故もなく無事に帰宅し、2日目にサークルの代表者のところへ警察から連絡がありました。
「台風の影響もあり海がかなり荒れており、遺体は発見できなかった。現場を発見して通報してくれてありがとうございました」という内容の報告だったそうです。
まさかたかだか発見者ごときにそういった報告があるとは思わなかったので驚きました。
ご遺体が発見できなかったのは、自殺という死因も相まって、ご遺族はさぞ気落ちされているだろうと思いました。
心の中で静かにご冥福をお祈りして、その後はそんなことも忘れてアルバイトに精を出していました。
しかしその日の夜です。
23時頃でしょうか。
テレビを観ていた時です。
「ピンポーン」とアパートのチャイムがなるので、いつものようにまた誰かが遊びに来たのかな?と思い、ドアスコープで覗いてみても誰もいません。
いたずらか?と再びテレビを観始めました。
するとまたもやピンポーン。
今度は扉を開けてみました。
やはり誰もいません。
ちょっと怒りながら戻ろうとした時に、再びピンポーン。
私の住んでいたアパートの部屋は、2階の一番端っこの角部屋だったため、チャイムが鳴ってすぐに開ければ、少なくとも廊下を走る姿が見えるはずです。
しかし、すぐに開けて確認しても誰もいない。
本格的に頭に「?」が大量に浮かんできました。
そしてふとアパートの前の通りにある自動販売機あたりに目がいきました。
自動販売機の隣に、犬を連れた人が立っています。
服装から女性だというのは解りますが、顔はよく見えません。
しかし確実にこちらを見ているというのは解ります。
とにかく怖くなって、扉を閉めて部屋に入りました。
「落ち着け、落ち着け」
「あれはたまたま近所の人が犬の散歩に出ていただけだ。幽霊とかそんなんじゃない。第一これまでの人生でそういった類いのものは一度も見たことないじゃないか。もう一度見たらいないはず」
自分に言いかせて、その確証を得るためにもそうっと扉を開いて、自動販売機の隣を見ました。
いない・・・。
すごくホッとして、緊張のために止めていた息を吐き切り、目線が下にいった時に気づきました。
先ほどまでは全く気付いていいなかったのですが、扉の前の廊下が丸く濡れているんです。
その日は雨も降ってませんし、上から雫が落ちてくるようなこともそれまでありませんでした。
とにかく丸く水の跡があるんです。
かなり怖くなって布団をかぶって震えてました。
様々な想像が頭をよぎり、勝手に恐怖を増長させていたかもしれません。
気がつくと朝で、どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようです。
早速サークルの友人や先輩に連絡して、ファミレスで落ち合って相談することにしました。
電話した時に、バカな後輩二人も、昨夜ちょっとしたことがあったということでした。
怖かったのもありファミレスに早めに到着したのですが、バカ後輩二人は更に早く着いていました。
ほどなくして他のメンバーも集まり、ドリンクバーを飲みながらどういったことがあったのかを話しました。
後輩1は、夜中にあのドッポーーーンという音がして驚いてめざめることが数回。
その後眠ってみるも、夢の中で女性がずっと追いかけてくるというもの。
後輩2は、実家住みなのですが、弟が同期の後ろをついて歩くような人影を何度か目撃したこと。
クローゼットの引き戸がガタガタガタガタ鳴って、近づくと止まるという現象が何度か。
勇気を振り絞ってクローゼットを開けると、女性と思わしき人が、やはり犬を連れて立っていたとのこと。
驚いて気を失ったのか、私のように気がついたら朝で、すぐに後輩1に電話していたところで、私からのキャッチが入ったとのことでした。
なぜかバカ同期は何の現象も無し。
一通り話し終えたのですが、普段のように囃立てるも無しで、周囲の他のお客さんなどの音を除けば、私たちのテーブルだけシーンと静まり返っていました。
怪談ではこういう時は大概知り合いに霊能者がいるだとか、寺とか神社をやってる知り合いがいるって人が出てくるもんですが、全く誰もこれっぽっちもそういう人はいませんでした。
「きっとあの自殺した人の霊だよ」
という、どう考えてもそうだろうよというありきたりの意見しか出てきません。
じゃあどうしたら良いか?って話になると、「神社とかお寺とか行くか?」みたいな話にしかならず、「とりあえず明日にでも近くのでかい神社行って、お祓いでもしてみるか」ということになりました。
とりあえずその日は夕方から家庭教師のアルバイトが入っていたので、明日の予定を調整した後、私は家庭教師先に向かいました。
家庭教師先の家の庭にいつものように車を停め、チャイムを鳴らします。
このお宅は地主さんで、大きな果樹園を営んでおり、収穫の時期には美味しい果物をたくさんくださります。
「は~い、いらっしゃ~い」と出て来た奥さんが、私を見て顔が引きつりました。
奥さん「先生、なんか、エライの連れて来たね」
そう言われて私の顔も引きつりました。
「実は・・・」とこれまでの経緯を話しました。
奥さん「そんなに悪いもんじゃないとは思うけど、近くの神社に連絡入れるからちょっと待っててくださいね」
そう言うと、電話しだしました。
途中で電話口を押さえ、こちらを向いて「大丈夫だったら他の人も呼びなさいだってよ~」と言うので、早速後輩二人にも連絡を入れました。
他のメンバーにも一応メールで事の次第を伝え、来られるようなら来るようにと伝えました。
どうやら奥さんは幽霊などは見えはしないけど感じる?人で、払ったりなどの対処もできるわけじゃないそうです。
奥さんが「先生見た瞬間、あっ!て感じちゃったのよね~」と感じるを強調して言うので、私は恐怖感があるにもかかわらず、ちょっとエッチな妄想が止まらなくなりました。
さて、2時間もしたら夏合宿に参加した中の約8割程度(15人ほど)が集まり、奥さんに先導されて神社へ向かうことになりました。
バカ同期は、「バイトもあるし俺は特に何もないから行かねー」と言って来ませんでした。
神社はそれほど大きくないのですが、歴史は古いようです。
社殿に通される途中の廊下などをみると、◯◯家(奥さんの家)奉納みたいなのがたくさんあります。
どうやら昔から様々な折に寄付しているようです。
さすが地主さんです。
神主さんに事の経緯話し、他には特に色々聞かれるでもなく商売繁盛とか七五三とかの祈祷と同じような感じで祈祷が始まりました。
30分ほど続き、神主さんが「はい、もう大丈夫だと思いますよ」と言った時には、心底ホッとしました。
神主さん曰く、やはり遺書をふざけて読み上げてしまったのが良くなかったのではないかとのこと。
ただ、私に対しては「助けてほしい」という意思が感じられたとのことで、何か悪さをしようという感じは無かったとのこと。
たまたま波長?が合ったのではないかとのことでした。
他のメンバーは特に大丈夫だろうとのことで、その場は奥さんと神主さんに丁寧にお礼をして帰宅することになりました。
お金をお支払いしようと思ったのですが、神主さんが「◯◯さんにはいつも本当にお世話になっていますし、お金とかそういうのは結構です」とおっしゃ理、奥さんも「あら良かったわね~」と言うので、お言葉に甘えました。
翌日の神社訪問はこれで無くなりました。
心配なのは後輩二人と同じ遺書読み上げ当事者であるバカ同期です。
お祓いしてもらった旨を伝え、必要なら連絡くれとメールしておきました。
しかし翌日になっても連絡は何もなく、2週間程度してまたサークルの集まりがあった時に会ったのですが、少しやつれて、元気もない感じでした。
みんな大丈夫かと声を変えるのですが、「うん、大丈夫。深夜バイトで疲れてるだけ」と言ってぎこちない笑顔を見せていました。
夏休みも後1週間ちょっとで終わるという頃、バカ同期から「俺ちょっとヤバイかも」というメールが来て、その後何度もメールしても返信がありません。
夏休み明けに大学に行くと、バカ同期は退学して実家に帰ったと指導教授から伝えられました。
そこから全く音信不通で、今彼がどうしているのか、あの後何が合ったのかは誰も解っていません。
吊り橋を渡って少し行ったところにその場所があるので、みんなで「吊り橋こえー!」などと馬鹿丸出しでワイワイ喋りながら渡っていた時に、ドッポーーーン!!という結構大きな、何かが海に落ちる音が聞こえました。
誰かバカな奴が石でも投げ込んだのでしょう。
「あんま余計なことすんなよ~」とサークルの代表者も注意しました。
そしていざ目的の場所に着いた時。
バカな後輩二人組が「ちょっとその辺見てこよーぜ」と花火の準備をサボって周囲を散策に行きました。
少ししたら「大変だーーー!誰かすぐきてーーー!」という後輩たちの声がしたので、みんなで行ってみました。
どうせエロ本でもみっけたんだろうと小学生レベルの想像をしていたのですが、ことはそれほど簡単なものではなかったのです。
後輩たちの指差す方を見ると、そこには女性ものの靴が揃えて置いてあり、隣に鞄、その上に封筒が置いてありました。
「・・・これって・・・自殺のあと?」
誰かが言いました。
状況から見るに、そうとしか思えません。
ほとんどのメンバーがかなり深刻な顔になって、黙りこくっていたのですが、発見したバカな後輩たちはバカゆえに逆に大はしゃぎしている状態です。
それに同じレベルのバカな私の同期も加わってしまいました。
そしてついに封筒を開けてしまいました。
『遺書』
そう書かれた紙が出てきて、こともあろうか後輩たちはそれを音読しだしたのです。
「やめろ!」と注意するも、テンションマックスの後輩たちは止まりませんでした。
内容を要約すると「数百万円の借金があります。もうどうしようもないので、犬と一緒に死にます。私の生命保険で返済してください」というものでした。
とりあえずすぐに警察に連絡しなきゃということで、携帯電話で警察に連絡しました。
もはや花火どころではありません。
女子のメンバーの何人かは泣き出しちゃうし、先輩たちも落ち着こうとしているけど、静かにテンション上がっちゃってるし。
ほどなくして警察が来て、事情聴取が始まりました。
発見時の詳細や、なぜここに来たのか?などを細々聞かれました。
封筒の中身を開けて読んでしまったバカ後輩たちと同期は、警察にバッチリ怒られていました。
当然花火は中止となり、ペンションに帰ると、事前に連絡をしておいた女将さんが塩を持って待っていました。
「いや~、大変だったね~。嫌な思いしたかもしれないけど、早く忘れちゃいな~」
そう言って、みんなに塩をかけてくれました。
その夜はやはり自殺現場発見の件で話題は持ちきりに。
お酒を飲みながら「4桁万円後半とか億単位だったらわかるけど、数百万で死んじゃダメだよな~」とか。
他にも「一番かわいそうなのは犬だよな」「夜のお散歩うれしーなー。え!?キャワーーーンだったのかな?」とか、めちゃくちゃ勝手なことを言いながら合宿最後の宴会をして、明日の帰宅に備えて少し早めに就寝しました。
最終日は台風が近づいていることもあり、伊豆のちょっとした公園に寄って、そのまま帰ることにしました。
公園に寄っている時、台風の影響でやたらと風が強かったというのを記憶しています。
台風の足は意外と速く、帰りの高速道路では暴風雨の中を運転することとなり、ドライバーだった私はかなり疲れました。
なんとか事故もなく無事に帰宅し、2日目にサークルの代表者のところへ警察から連絡がありました。
「台風の影響もあり海がかなり荒れており、遺体は発見できなかった。現場を発見して通報してくれてありがとうございました」という内容の報告だったそうです。
まさかたかだか発見者ごときにそういった報告があるとは思わなかったので驚きました。
ご遺体が発見できなかったのは、自殺という死因も相まって、ご遺族はさぞ気落ちされているだろうと思いました。
心の中で静かにご冥福をお祈りして、その後はそんなことも忘れてアルバイトに精を出していました。
しかしその日の夜です。
23時頃でしょうか。
テレビを観ていた時です。
「ピンポーン」とアパートのチャイムがなるので、いつものようにまた誰かが遊びに来たのかな?と思い、ドアスコープで覗いてみても誰もいません。
いたずらか?と再びテレビを観始めました。
するとまたもやピンポーン。
今度は扉を開けてみました。
やはり誰もいません。
ちょっと怒りながら戻ろうとした時に、再びピンポーン。
私の住んでいたアパートの部屋は、2階の一番端っこの角部屋だったため、チャイムが鳴ってすぐに開ければ、少なくとも廊下を走る姿が見えるはずです。
しかし、すぐに開けて確認しても誰もいない。
本格的に頭に「?」が大量に浮かんできました。
そしてふとアパートの前の通りにある自動販売機あたりに目がいきました。
自動販売機の隣に、犬を連れた人が立っています。
服装から女性だというのは解りますが、顔はよく見えません。
しかし確実にこちらを見ているというのは解ります。
とにかく怖くなって、扉を閉めて部屋に入りました。
「落ち着け、落ち着け」
「あれはたまたま近所の人が犬の散歩に出ていただけだ。幽霊とかそんなんじゃない。第一これまでの人生でそういった類いのものは一度も見たことないじゃないか。もう一度見たらいないはず」
自分に言いかせて、その確証を得るためにもそうっと扉を開いて、自動販売機の隣を見ました。
いない・・・。
すごくホッとして、緊張のために止めていた息を吐き切り、目線が下にいった時に気づきました。
先ほどまでは全く気付いていいなかったのですが、扉の前の廊下が丸く濡れているんです。
その日は雨も降ってませんし、上から雫が落ちてくるようなこともそれまでありませんでした。
とにかく丸く水の跡があるんです。
かなり怖くなって布団をかぶって震えてました。
様々な想像が頭をよぎり、勝手に恐怖を増長させていたかもしれません。
気がつくと朝で、どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようです。
早速サークルの友人や先輩に連絡して、ファミレスで落ち合って相談することにしました。
電話した時に、バカな後輩二人も、昨夜ちょっとしたことがあったということでした。
怖かったのもありファミレスに早めに到着したのですが、バカ後輩二人は更に早く着いていました。
ほどなくして他のメンバーも集まり、ドリンクバーを飲みながらどういったことがあったのかを話しました。
後輩1は、夜中にあのドッポーーーンという音がして驚いてめざめることが数回。
その後眠ってみるも、夢の中で女性がずっと追いかけてくるというもの。
後輩2は、実家住みなのですが、弟が同期の後ろをついて歩くような人影を何度か目撃したこと。
クローゼットの引き戸がガタガタガタガタ鳴って、近づくと止まるという現象が何度か。
勇気を振り絞ってクローゼットを開けると、女性と思わしき人が、やはり犬を連れて立っていたとのこと。
驚いて気を失ったのか、私のように気がついたら朝で、すぐに後輩1に電話していたところで、私からのキャッチが入ったとのことでした。
なぜかバカ同期は何の現象も無し。
一通り話し終えたのですが、普段のように囃立てるも無しで、周囲の他のお客さんなどの音を除けば、私たちのテーブルだけシーンと静まり返っていました。
怪談ではこういう時は大概知り合いに霊能者がいるだとか、寺とか神社をやってる知り合いがいるって人が出てくるもんですが、全く誰もこれっぽっちもそういう人はいませんでした。
「きっとあの自殺した人の霊だよ」
という、どう考えてもそうだろうよというありきたりの意見しか出てきません。
じゃあどうしたら良いか?って話になると、「神社とかお寺とか行くか?」みたいな話にしかならず、「とりあえず明日にでも近くのでかい神社行って、お祓いでもしてみるか」ということになりました。
とりあえずその日は夕方から家庭教師のアルバイトが入っていたので、明日の予定を調整した後、私は家庭教師先に向かいました。
家庭教師先の家の庭にいつものように車を停め、チャイムを鳴らします。
このお宅は地主さんで、大きな果樹園を営んでおり、収穫の時期には美味しい果物をたくさんくださります。
「は~い、いらっしゃ~い」と出て来た奥さんが、私を見て顔が引きつりました。
奥さん「先生、なんか、エライの連れて来たね」
そう言われて私の顔も引きつりました。
「実は・・・」とこれまでの経緯を話しました。
奥さん「そんなに悪いもんじゃないとは思うけど、近くの神社に連絡入れるからちょっと待っててくださいね」
そう言うと、電話しだしました。
途中で電話口を押さえ、こちらを向いて「大丈夫だったら他の人も呼びなさいだってよ~」と言うので、早速後輩二人にも連絡を入れました。
他のメンバーにも一応メールで事の次第を伝え、来られるようなら来るようにと伝えました。
どうやら奥さんは幽霊などは見えはしないけど感じる?人で、払ったりなどの対処もできるわけじゃないそうです。
奥さんが「先生見た瞬間、あっ!て感じちゃったのよね~」と感じるを強調して言うので、私は恐怖感があるにもかかわらず、ちょっとエッチな妄想が止まらなくなりました。
さて、2時間もしたら夏合宿に参加した中の約8割程度(15人ほど)が集まり、奥さんに先導されて神社へ向かうことになりました。
バカ同期は、「バイトもあるし俺は特に何もないから行かねー」と言って来ませんでした。
神社はそれほど大きくないのですが、歴史は古いようです。
社殿に通される途中の廊下などをみると、◯◯家(奥さんの家)奉納みたいなのがたくさんあります。
どうやら昔から様々な折に寄付しているようです。
さすが地主さんです。
神主さんに事の経緯話し、他には特に色々聞かれるでもなく商売繁盛とか七五三とかの祈祷と同じような感じで祈祷が始まりました。
30分ほど続き、神主さんが「はい、もう大丈夫だと思いますよ」と言った時には、心底ホッとしました。
神主さん曰く、やはり遺書をふざけて読み上げてしまったのが良くなかったのではないかとのこと。
ただ、私に対しては「助けてほしい」という意思が感じられたとのことで、何か悪さをしようという感じは無かったとのこと。
たまたま波長?が合ったのではないかとのことでした。
他のメンバーは特に大丈夫だろうとのことで、その場は奥さんと神主さんに丁寧にお礼をして帰宅することになりました。
お金をお支払いしようと思ったのですが、神主さんが「◯◯さんにはいつも本当にお世話になっていますし、お金とかそういうのは結構です」とおっしゃ理、奥さんも「あら良かったわね~」と言うので、お言葉に甘えました。
翌日の神社訪問はこれで無くなりました。
心配なのは後輩二人と同じ遺書読み上げ当事者であるバカ同期です。
お祓いしてもらった旨を伝え、必要なら連絡くれとメールしておきました。
しかし翌日になっても連絡は何もなく、2週間程度してまたサークルの集まりがあった時に会ったのですが、少しやつれて、元気もない感じでした。
みんな大丈夫かと声を変えるのですが、「うん、大丈夫。深夜バイトで疲れてるだけ」と言ってぎこちない笑顔を見せていました。
夏休みも後1週間ちょっとで終わるという頃、バカ同期から「俺ちょっとヤバイかも」というメールが来て、その後何度もメールしても返信がありません。
夏休み明けに大学に行くと、バカ同期は退学して実家に帰ったと指導教授から伝えられました。
そこから全く音信不通で、今彼がどうしているのか、あの後何が合ったのかは誰も解っていません。
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