友人Aの実家の話。
学生時代に友人たちと旅行した時に、ちょっと怖い系の体験をしてかなりびびったんだけど、Aだけは平気な顔してた。

「なんでお前大丈夫なの?」って聞いたら「あんなんしょっちゅうだから慣れちゃった」だって。

特にAは霊感がどうのってタイプじゃないらしいんだけど、生まれた時から住んでる家というか、その近辺がヤバイらしい。
いくつか聞いた話で覚えているのを紹介する。

<その1>
Aが酔っ払って帰って、眠いからすぐに布団に入った。
眠りかけた頃、誰かが自分の布団にもそもそと入って来た。
弟も酔っ払って帰ってきたかなんかして、自分の部屋まで行くのがめんどいからAの布団に入って来たのかな?と思ったらしい。

とりあえず「てめーウゼーから出てけよ」と言って蹴っ飛ばしたらすごすごと布団から出ていった様子。
翌日弟にもう一度文句言おうとしたけど、弟は昨日帰宅しておらず不在。
両親にも確認するが、Aが帰宅したことすら知らずに自室でぐっすり眠っていたとのこと。

じゃあ、あれは誰だったんだ?って話。

<その2>
Aの母親は、自宅の向かいにあるお店でパートしている。
家の目の前だから、開店準備はAの母親がすることが多かった。
自宅を出て従業員用の入り口から入ろうとすると、すりガラスから既に誰かが来て、白い割烹着姿っぽいので動いているのが見える。
確実に人だってのはわかる。
だけど従業員用の扉は施錠されている。

あれ?と思って中に入って確認するんだけど、誰もいない。
これはしゅっちゅうあるらしい。

<その3>
両親が旅行に出かけていて、弟と二人で留守番。
自室でゲームしていたら、ギシッギシッと階段を上がってくる音がした。
弟が帰ってきたのかな?と思って「おかえりー」と声をかけるが返事がない。

「おい、帰ったんだろ?シカトすんじゃねーよ!」と廊下に出ても誰もいない。
弟の部屋を開けてみても誰もいない。
あれ?と思って自室に戻ろうとした時、玄関の扉が開く音がして、「ただいまー」という弟の声がして、普通に2階に上がって来た。
キョトンとしているAに対して「にーちゃん何やってんの?」。

<その4>
家のすぐ近所の公園で夕方友達と遊んでいると、サラリーマン風のおっさんがずっとA達を見つめている。
なんだよ気色わりーなと思いながら遊んでいるが、見つめてくるのでAも気になってちょいちょいおっさんを見ていたらしいのだけど、ほんの1秒くらい目を離して戻した時にはおっさんは消えていたらしい。

他にも家族全員で居間でテレビ見ている時に、2階から誰かの喋り声が聞こえたり、廊下を歩く音が聞こえたりなんてのは日常の出来事とのこと。
ネズミとかの小動物とかなんじゃないの?と聞いたが、害虫駆除?とかの業者に頼んでも、そういった類が生息している痕跡は全くないとのこと。
家族全員その状況に慣れきってしまい、全く気にせずに居住しているらしい。

実際に俺も何度かAのうちに泊まりに行ったことがあるけど、確かに誰もいない2階から確実に人間のだよねって足音や声が聞こえたり、誰もいないはずの風呂場に人影が見えたりってのは体験した。

Aの家に行った時以外はそういう体験がないから、やはりAの家近辺がヤバイんだと思う。
でもA家族は全くそんなのを気にする風でもなく、非常に明るく楽しく毎日を暮らしている。

以上が友人Aの実家とその近辺で起こる不思議な話。
俺的にはそういう土地があること自体が死ぬほど洒落にならないくらい怖い。