数年前の宮城県での話し、時期は10月くらい。
高校生の頃、派遣で引っ越しのバイトしてたんだ。
その日はまず営業所に集合して、あとは仕事が終わったら現地解散だったんだ。
現地解散とはいえ、トラックで最寄り駅までは連れてってくれた。
駅で降ろしてもらってから気づいたんだが、無人駅。
公園のトイレみたいな見た目と大きさ。
しかも電車の本数めっちゃ少ない。
次の電車が来るのは2時間後だった。
高校生の頃、派遣で引っ越しのバイトしてたんだ。
その日はまず営業所に集合して、あとは仕事が終わったら現地解散だったんだ。
現地解散とはいえ、トラックで最寄り駅までは連れてってくれた。
駅で降ろしてもらってから気づいたんだが、無人駅。
公園のトイレみたいな見た目と大きさ。
しかも電車の本数めっちゃ少ない。
次の電車が来るのは2時間後だった。
路線図を見ると東北本線(だと思う)のメインの路線から分岐した路線らしかった。
さすがに2時間なにもないところで過ごすのはつまんないと思い、マップで調べると、1時間ちょっと歩けばメインの路線の駅へ辿り着けると出てきた。
そして、当時は体力が余っていた高校生なので、1時間歩くという愚かな選択をしてしまった。
駅の周りはまだ工場とか営業所みたいなのとか、まだ普通に建物があった。
30分ほど歩いた。
周りの景色は田んぼと畑と山と森と民家がポツポツと。
誇張じゃなくなにもない。
トトロの村よりも家が少なかった。
途中バス停を見つけたが、1日4本しか無く、すでに最後のバスも行った後だった。
そしてそれまでまったく車も人間を見ていなかった。
午後7時頃、あたりは完全に暗くなっていた。
すでに歩いて1時間以上経っているのだが、全然たどり着ける気配すらなかった。
ケータイも充電がなくなっていた。
突然、店(と言ってもやっているのかわからない床屋とシャッターの閉まった商店みたいな)が2、3軒集まっている場所に出た。
そこの店と繋がっている家の庭ではじめて人を見かけた。
暗くて性別はわからないが、背の曲がり方からして老人だろうと思った。
街灯もほとんどなく本気で暗くてなにも見えない田舎を1人で歩き続けて心細くなってた俺は、なんだか人を見つけて安心感が生まれた。
もはや道に迷いかけていたので道を聞こうと声をかけると、庭にいたはずの人影が消えた。
あれ?と思った瞬間足が動かなくなった。
誰もいなくなったはずの目の前から男の老人のような声で尋ねられた。
「なんでこんな時間に出歩いてる?」
「どこの家の子だ?」
最初見た人影は1つのはずだが声は2つ聞こえた。
俺は焦り自分の名前を言いそうになったが、なぜかとっさに昔図書室で読んだ怪談レストランで、幽霊に自分の名前を名乗ってはいけない、みたいな話を読んだことを思い出した。
怖くて顎が少し震えていたが必死に全然別の名前を適当に答えた。
返答は一切なかったが足が動いたので本気で走って逃げた。
喉に血のような味がしてくるほど休まずに走り続けた。
街灯なんか1つもなかったが道は1本だったから迷わなかった。
限界がきて息を切らして手を膝につけて立ち止まったら、車が普通に走ってた。
腕時計を見るとすでに8時を過ぎていた。あの人影を最初見たのが7時5分くらいだったはずで、そこで立ち止まったのも30秒程度だろう。
そこから1時間走り続けたなんてありえない話だから、絶対におかしいと思うはずなんだが、逃げられたことの安心感で頭もろくに回らず、そんなこと考える余裕はなかった。
4車線の大通りに出てみるともう目の前に駅が見えた。
人も普通に歩いている。
それを見て安堵で道路に座り込んだ。
これで終わり。
さすがに2時間なにもないところで過ごすのはつまんないと思い、マップで調べると、1時間ちょっと歩けばメインの路線の駅へ辿り着けると出てきた。
そして、当時は体力が余っていた高校生なので、1時間歩くという愚かな選択をしてしまった。
駅の周りはまだ工場とか営業所みたいなのとか、まだ普通に建物があった。
30分ほど歩いた。
周りの景色は田んぼと畑と山と森と民家がポツポツと。
誇張じゃなくなにもない。
トトロの村よりも家が少なかった。
途中バス停を見つけたが、1日4本しか無く、すでに最後のバスも行った後だった。
そしてそれまでまったく車も人間を見ていなかった。
午後7時頃、あたりは完全に暗くなっていた。
すでに歩いて1時間以上経っているのだが、全然たどり着ける気配すらなかった。
ケータイも充電がなくなっていた。
突然、店(と言ってもやっているのかわからない床屋とシャッターの閉まった商店みたいな)が2、3軒集まっている場所に出た。
そこの店と繋がっている家の庭ではじめて人を見かけた。
暗くて性別はわからないが、背の曲がり方からして老人だろうと思った。
街灯もほとんどなく本気で暗くてなにも見えない田舎を1人で歩き続けて心細くなってた俺は、なんだか人を見つけて安心感が生まれた。
もはや道に迷いかけていたので道を聞こうと声をかけると、庭にいたはずの人影が消えた。
あれ?と思った瞬間足が動かなくなった。
誰もいなくなったはずの目の前から男の老人のような声で尋ねられた。
「なんでこんな時間に出歩いてる?」
「どこの家の子だ?」
最初見た人影は1つのはずだが声は2つ聞こえた。
俺は焦り自分の名前を言いそうになったが、なぜかとっさに昔図書室で読んだ怪談レストランで、幽霊に自分の名前を名乗ってはいけない、みたいな話を読んだことを思い出した。
怖くて顎が少し震えていたが必死に全然別の名前を適当に答えた。
返答は一切なかったが足が動いたので本気で走って逃げた。
喉に血のような味がしてくるほど休まずに走り続けた。
街灯なんか1つもなかったが道は1本だったから迷わなかった。
限界がきて息を切らして手を膝につけて立ち止まったら、車が普通に走ってた。
腕時計を見るとすでに8時を過ぎていた。あの人影を最初見たのが7時5分くらいだったはずで、そこで立ち止まったのも30秒程度だろう。
そこから1時間走り続けたなんてありえない話だから、絶対におかしいと思うはずなんだが、逃げられたことの安心感で頭もろくに回らず、そんなこと考える余裕はなかった。
4車線の大通りに出てみるともう目の前に駅が見えた。
人も普通に歩いている。
それを見て安堵で道路に座り込んだ。
これで終わり。
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