俺が小2で8才のころの体験。
よくある話だが茶請けにしてくれ。
俺はその当時、週末や祝日になれば、兄貴と一緒によく祖母の家に泊まりに行ってた。
田舎だがかなり広い家で、なんでも亡くなった祖父は、代々近隣の土地を持ったお金持ちだったみたいでな。
山とか沢山所有してて、まあ平たく言うと『地主』みたいなものだった。
なので実家付近に住む古い人間には、俺の祖父を知らない者は居ないくらいで、「亡くなった◯◯の孫です」って言えばちやほやされるような、ちょっとした子供なりの虚栄心を満足させてくれる環境だった。
昔良くしてもらったという理由で、駄菓子屋では1日3個までお菓子無料でくれたりね。
よくある話だが茶請けにしてくれ。
俺はその当時、週末や祝日になれば、兄貴と一緒によく祖母の家に泊まりに行ってた。
田舎だがかなり広い家で、なんでも亡くなった祖父は、代々近隣の土地を持ったお金持ちだったみたいでな。
山とか沢山所有してて、まあ平たく言うと『地主』みたいなものだった。
なので実家付近に住む古い人間には、俺の祖父を知らない者は居ないくらいで、「亡くなった◯◯の孫です」って言えばちやほやされるような、ちょっとした子供なりの虚栄心を満足させてくれる環境だった。
昔良くしてもらったという理由で、駄菓子屋では1日3個までお菓子無料でくれたりね。
無論、俺と兄貴が調子に乗ってお菓子を毎日たかるようなマネをしなかった、というのもあっただろう。
まあ前置きはともかく、これはそんな田舎のお盆時期での体験。
お盆の季節になると田舎では決まって親族一同で集まり、ご先祖様の墓参りや祖父の墓参りが恒例。
俺と兄貴は祖父からの直系の血筋というのも相まって、かなり可愛がられていた。
というか他の親族には孫とかが少なく、こういう行事にも進んで参加する子供も居なかった。
俺たち兄弟はさぞ良い子に映っただろう。
まあそんなこんなで、昼は墓参り、夜は実家で宴会というのはお決まりでした。
夜中になってもそれはずっと続いてて、兄貴は先に寝てしまった。
俺はなかなか寝付けなかったから、縁側で鈴虫の鳴き声聴いたり遠くに見える蛍とか見て一人で喜んでた。
しばらくして、遠くに白いなにかが見えた。
光ってるわけじゃないけど、夜の暗闇の中にいるそれははっきりとした。
白いなにかだった。
お盆の時期、夜、そして近くにある寺。
と、ここまで条件がそろえば子供にだって解る。
あれは幽霊だってね。
でも不思議と怖くなかった。
縁側のすぐ後ろでは大人たちが酒を楽しく飲んで煩かったからとかじゃなく、なぜだか怖くなかった。
ぶっちゃけ霊感とかそういうものが無い人間だったから、そういうのに対する恐怖感が薄かったとかもあったのかもしれないな。
よく見るとその白いのはワンピースで、幽霊が小さな女の子だって分かった。
当時の俺が見て小さいと認識するくらい小さな女の子だった。
顔はなかった。
なにもなかった。
のっぺらぼうだったんだ。
でも怖くなかった。
俺は縁側にあったサンダル履いて、無謀にもその子に近づいていったんだ。
今なら絶対できないくらい、無謀というか無知というか、まあ恐怖感が無かったから故だろう。
そうすると、女の子は背を向けて走っていった。
正確に言うと、走ってるんじゃなく滑るようにというのかな・・・地を舐めるように?して去っていった。
寺のほうだった。
俺は大人に見つからないようにして、その子を追いかけて寺まで入っていった。
そこの寺はかなり大きいが、墓がメインのタイプの寺で、決して芸術性などのない田舎の寺だ。
さすがに夜の寺は不気味で、俺もようやく恐怖心が芽生えてきたことを覚えてる。
裏門から入っていってその子を追いかけていくと、墓場の中心にある巨木までたどりついた。
大人が7~8人くらい手をつないでようやく輪を作れるくらい(あやふやな言い方ですまん)の、かなりでかい木。
これがまた夜になると、すさまじく不気味で恐ろしかった。
びびりながら周囲を見回すが、そののっぺらな女の子は居ない。
ふと上を見上げると・・・女の子は木の上にいた!
太い枝に腰掛けて、じっと俺を見ていた。
近くでよく見ると手足の先端がなく、ワラ人形みたいな感じで、かなり不気味な出立ちだった。
でも、その女の子自体はまったく怖くなかった。
俺とその幽霊は、長いことそのまま見つめ合ってたと思う。
しばらくして、俺が居なくなったことに気づいた大人たちが大慌てで寺にやってきて、軽く怒られてその夜は帰った。
帰りがけに振り返ると、もう幽霊はいなかった。
次の日の昼、俺は寺に遊びに行った。
そこの年取った坊さんに「◯◯の孫です」と決まり文句言って頭を下げたら、祖父をよく知っていると言って、懐かしみながら話を聞いてくれた。
昨夜に経験したことを、子供の下手くそな説明で聞かせた。
坊さんは「うんうん」と納得したように頷いて、「そりゃきっと××さんトコの□□ちゃんだな」と聞かせてくれた。
聞くところによると、数か月前に女の子が病気(病名は言ってくれなかった)で亡くなったらしく、その子は元気いっぱいで、小さいながらも山に登って遊んだり、寺の巨木をお気に入りとしてよく登っていたとかなんとか。
んで、着ている服はいつも白いワンピースだったらしい。
「盆の時期に帰ってきたはいいが、騒がしいところがあると思って君の家を覗いたんだろう」と坊さんは言ってた。
怖くなかったということも伝えると、「そんなことする子じゃなかったからね」と言っていた。
寂しいからって生きた人間を連れ帰るようなマネはしないってことかと、しばらくして意味がわかった。
しかし坊さんはこの後、もっとも恐ろしいことを俺に聞かせてくれた。
この体験の真骨頂とも言えることを。
坊さん「まあ君が取り憑かれなくて良かったよ。俺はお祓いとかそういうのできないから^^;」
「・・・(・д・;)←俺」
ほんと取り憑かれなくて良かったと、坊さんの苦笑いを見ながら心底思った。
ちなみにその幽霊は翌年と翌々年、盆の晩になるとその巨木に現れたが、その後は見かけることが無かった。
なぜなら、その巨木は切り倒されてしまったからだ。
今でも墓参りするたびに巨木の切り株を見ると、なんとなく寂しい気分になる。
まあ前置きはともかく、これはそんな田舎のお盆時期での体験。
お盆の季節になると田舎では決まって親族一同で集まり、ご先祖様の墓参りや祖父の墓参りが恒例。
俺と兄貴は祖父からの直系の血筋というのも相まって、かなり可愛がられていた。
というか他の親族には孫とかが少なく、こういう行事にも進んで参加する子供も居なかった。
俺たち兄弟はさぞ良い子に映っただろう。
まあそんなこんなで、昼は墓参り、夜は実家で宴会というのはお決まりでした。
夜中になってもそれはずっと続いてて、兄貴は先に寝てしまった。
俺はなかなか寝付けなかったから、縁側で鈴虫の鳴き声聴いたり遠くに見える蛍とか見て一人で喜んでた。
しばらくして、遠くに白いなにかが見えた。
光ってるわけじゃないけど、夜の暗闇の中にいるそれははっきりとした。
白いなにかだった。
お盆の時期、夜、そして近くにある寺。
と、ここまで条件がそろえば子供にだって解る。
あれは幽霊だってね。
でも不思議と怖くなかった。
縁側のすぐ後ろでは大人たちが酒を楽しく飲んで煩かったからとかじゃなく、なぜだか怖くなかった。
ぶっちゃけ霊感とかそういうものが無い人間だったから、そういうのに対する恐怖感が薄かったとかもあったのかもしれないな。
よく見るとその白いのはワンピースで、幽霊が小さな女の子だって分かった。
当時の俺が見て小さいと認識するくらい小さな女の子だった。
顔はなかった。
なにもなかった。
のっぺらぼうだったんだ。
でも怖くなかった。
俺は縁側にあったサンダル履いて、無謀にもその子に近づいていったんだ。
今なら絶対できないくらい、無謀というか無知というか、まあ恐怖感が無かったから故だろう。
そうすると、女の子は背を向けて走っていった。
正確に言うと、走ってるんじゃなく滑るようにというのかな・・・地を舐めるように?して去っていった。
寺のほうだった。
俺は大人に見つからないようにして、その子を追いかけて寺まで入っていった。
そこの寺はかなり大きいが、墓がメインのタイプの寺で、決して芸術性などのない田舎の寺だ。
さすがに夜の寺は不気味で、俺もようやく恐怖心が芽生えてきたことを覚えてる。
裏門から入っていってその子を追いかけていくと、墓場の中心にある巨木までたどりついた。
大人が7~8人くらい手をつないでようやく輪を作れるくらい(あやふやな言い方ですまん)の、かなりでかい木。
これがまた夜になると、すさまじく不気味で恐ろしかった。
びびりながら周囲を見回すが、そののっぺらな女の子は居ない。
ふと上を見上げると・・・女の子は木の上にいた!
太い枝に腰掛けて、じっと俺を見ていた。
近くでよく見ると手足の先端がなく、ワラ人形みたいな感じで、かなり不気味な出立ちだった。
でも、その女の子自体はまったく怖くなかった。
俺とその幽霊は、長いことそのまま見つめ合ってたと思う。
しばらくして、俺が居なくなったことに気づいた大人たちが大慌てで寺にやってきて、軽く怒られてその夜は帰った。
帰りがけに振り返ると、もう幽霊はいなかった。
次の日の昼、俺は寺に遊びに行った。
そこの年取った坊さんに「◯◯の孫です」と決まり文句言って頭を下げたら、祖父をよく知っていると言って、懐かしみながら話を聞いてくれた。
昨夜に経験したことを、子供の下手くそな説明で聞かせた。
坊さんは「うんうん」と納得したように頷いて、「そりゃきっと××さんトコの□□ちゃんだな」と聞かせてくれた。
聞くところによると、数か月前に女の子が病気(病名は言ってくれなかった)で亡くなったらしく、その子は元気いっぱいで、小さいながらも山に登って遊んだり、寺の巨木をお気に入りとしてよく登っていたとかなんとか。
んで、着ている服はいつも白いワンピースだったらしい。
「盆の時期に帰ってきたはいいが、騒がしいところがあると思って君の家を覗いたんだろう」と坊さんは言ってた。
怖くなかったということも伝えると、「そんなことする子じゃなかったからね」と言っていた。
寂しいからって生きた人間を連れ帰るようなマネはしないってことかと、しばらくして意味がわかった。
しかし坊さんはこの後、もっとも恐ろしいことを俺に聞かせてくれた。
この体験の真骨頂とも言えることを。
坊さん「まあ君が取り憑かれなくて良かったよ。俺はお祓いとかそういうのできないから^^;」
「・・・(・д・;)←俺」
ほんと取り憑かれなくて良かったと、坊さんの苦笑いを見ながら心底思った。
ちなみにその幽霊は翌年と翌々年、盆の晩になるとその巨木に現れたが、その後は見かけることが無かった。
なぜなら、その巨木は切り倒されてしまったからだ。
今でも墓参りするたびに巨木の切り株を見ると、なんとなく寂しい気分になる。
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