実体験の不思議な話を書いてみる。
これは、俺が小学三年生くらいの時にした体験です。

それは当時『もののけ姫』が公開された時で、学校の話題はもののけ姫で持ち切りだった。
そんなある日、家族でご飯を食べてたら、姉が「ねぇお父さんお母さん、もののけ姫観に行きたい」と言った。
なんだかんだで話が進んで、その次の日曜日に家族全員(俺、姉、父、母)でもののけ姫を観に行くことになった。

で、当日映画館について驚いた。長蛇の列。公開されたばかり&日曜日ということで非常に混雑していた。

「待つなんて嫌だ、帰ろうよ!」と駄々を言いだす俺。

「嫌だ!観たいもん!」と折れない姉。困る両親。

その時、『学校の怪談』が同時上映されていたのが父の目に止まった。(しかも、待ち時間0分)

父「学校の怪談が上映されてるみたいだからそっちにしないか?」

姉「嫌だ!絶対にもののけ姫が見たい!」

俺「学校の怪談がいい」

母「分かった、じゃんけんで勝った方の映画を見よう、それでいい?お姉ちゃんが負けたら、もののけ姫はまた今度ね」

で、結果俺が勝っちまったんだが、ここが分かれ道でした。

いざ会場に入ると、お盆ってこともあって貸切だった。
ド真ん中の最前列に座って映画を堪能してたんだが、しばらくして母親が「後ろに誰かいる?」と、一度も振り返らずに言った。(母親は霊感が強い)

俺と姉と父は振り返る。

確かにおっさんが居た。
座席に座ってじっとしてる。

ただ気になったのは、微動だにせず、スクリーンではなく俺を見てる・・・気がした。

俺・姉「うん、おじさんがいるよー」

父「え?誰もいないけどw」(父はこういうのにはめっぽう鈍感な方)

俺と姉が「ほら!居るじゃん!ちゃんと見なよ」

父「どこに?居ないけどw」

映画そっちのけで、そんなやり取りが続いた。

すると母が、「七三分けの髪型で眼鏡をかけてて、服はカッターシャツ、ストライプのネクタイで、サラリーマンみたいな感じ?」と、後ろを見ずに言い当てた。

超能力者かよw

俺と姉「うん、そうだよ、何で分かるの?お母さんすごーい」

父は馬鹿らしくなったのか映画に集中してる。(内心怖がっていたのか?)
そう言ってるうちにおっさんが動いた、が、異様な動き。

人間の動きではなかった。
台車に乗って、スーと滑るような宙に浮く感じで横に移動した。

俺と姉は「キモチ悪っ」と思って、目を逸らす意味でスクリーンを見たんだけど、すぐさま母が「消えた!?」と大きめの声で言った。(何度も言うが、母はここまで一度も後ろを見てない)

その言葉に反射的に後ろを振り返ったが、そこにはおっさんの姿はなかった。

俺と姉がおっさんを視認→スクリーンを見る→また振り返る・・・この間わずか3秒ほどで、おっさんの距離から出入り口までには距離があったし、3秒で出入り口まで移動してドアを開け外に出るのは不可能です。
しかも、おっさんが移動した方向は出入り口とは逆の壁がある方で、おっさんが消えたのはありえない。
が、実際に姿を消したんです。

で、映画が終わって「あの人、この世の人じゃないのかもねーw」って笑い話にしながら、久々の外食を家族で楽しんで帰った。

数日後、俺は車に撥ねられて意識不明の重体。(後で聞いたが、生死を彷徨うかなりヤバい状態だったらしい)
その意識不明の夢(?)で、映画館で見たおっさんが出てきた。

真っ白で広い空間で、俺とそのおっさんの二人っきりだった。
身体は自由に動くけど、その空間ですることは限られていた。
怖かったが、仕方なく「嫌だなぁ、それにここはどこなんだろう」とか思いつつおっさんの方へ行った。

目の前に行くと、おっさんが名簿っぽいのを見ながら、「◯◯◯◯(俺の名前)さんの名前はありませんね、お引き取りを」と言われた瞬間、俺は目を覚ました。

俺は「何だ・・・体が痛い・・・」っと思って周りを見たら、母が「よかった」って言って泣いてた。
車に轢かれてから、おっさんとの会話、そして目が醒めるまで体感では数十秒くらいだったけど、実際4日意識不明だったみたい。

身体もある程度治って、一ヶ月後くらいにその夢の話を家族にしたんだが、「怖いからヤメテ」って言われるだけ。
それ以降はそのおっさんは見ていない。