孤独死した女性のアパートの一室を清掃したことがある。
ゴミが1mくらい積層された、いわゆるゴミ屋敷だった。
人手が足りなくて、2~3日俺一人でゴミを袋に詰める作業をしてた。

何が辛いかって、下に行けば行くほど故人が若返って行く。
依頼主(兄)から、「大事そうな物が出てきたら、一まとめにしといて下さい」って依頼だったから、封書は全部開いて内容を確認しなきゃいけない。
日記だとか写真だとか、下に行くほど過去に遡ってく・・・。

その人の過去はこうだった。
彼氏ができて幸せの絶頂→同棲→妊娠→結婚しようと両親に報告→両親は賛成だけどお兄さん(依頼主の弟)に反対される→お兄さんから彼への執拗な嫌がらせ→折れる彼→彼の子供を生みたい彼女。

身重だけど出産費用の為に仕事はしなきゃいけない→具合悪い→彼に援助を求める→彼拒否→お兄さんに援助を求める→お兄さん拒否→体売ろうにも勇気出ず→流産・・・。
<<ここからは日記も無く俺の想像>>
→自暴自棄になる→酒びたり、部屋はゴミだらけに→収入無く食べられない→餓死

依頼主のお兄さん、写真、日記、出てきた現金や資産を渡すときに、「見る勇気がありません、どんな物でした?」って聞かれて。
内容を話すと、泣きながら、「私が結婚して家を出るときに、悲しそうな顔で何も言わずに袖を握って離さなかった妹を忘れられません。私は妹がそんなに苦しんでたとは知らなかった。いい業者さんに仕事をしてもらえて良かったです。妹も成仏したと思います」って言われて、二人で号泣・・・。

ガランとした部屋でお兄さんと、妹さんの部屋から出てきた日本酒をコップ3個で飲んだ。
妹さんも、大好きだったお兄さんの隣で一緒に飲んでてくれたんだと思う。

あ、後半に出てくるお兄さんは、彼に嫌がらせをした兄では無く、妹さんに袖を握られたお兄さんです。