去年くらい。
俺が大学に通うためにルームシェアをはじめた頃の話。
そのころ、俺はバイトにかかりっきりで完全に昼夜逆転の生活をしてた。
夜の三時に寝て昼の十二時に起きる感じ。
同じ部屋でいた三つ年上の先輩は帰ってこない日の方が多かったから、実質一人暮らしみたいなもんだった。
んで、その日も日付が変わってから風呂に入って、ベッドに横になった。
たぶん三時か四時くらいだったと思う。
すげえ寝苦しくて目が覚めた。
俺が大学に通うためにルームシェアをはじめた頃の話。
そのころ、俺はバイトにかかりっきりで完全に昼夜逆転の生活をしてた。
夜の三時に寝て昼の十二時に起きる感じ。
同じ部屋でいた三つ年上の先輩は帰ってこない日の方が多かったから、実質一人暮らしみたいなもんだった。
んで、その日も日付が変わってから風呂に入って、ベッドに横になった。
たぶん三時か四時くらいだったと思う。
すげえ寝苦しくて目が覚めた。
体が全く動かせなかった。
金縛りって言っていいのかわからないけど、布団が凄く重かった。
寝返りをうとうとしても体が固定されてて動かせない感じ。
しばらくボーッと天井を見ていた。
窓の外は真っ暗だったから、なんとなくまだ夜なんだろうなあと思った。
疲れていたので二度寝しようとしたんだけど、布団が重くて苦しいから眠れない。
どかそうにも疲れてて動けない、みたいなめんどくさい状況だった。
しばらくもぞもぞしながら、とりあえず携帯を見ようと思って無理に首を曲げてベッドの脇を見た。
白い宇宙人が立っていた・・・。
ベッドの脇には開閉式のクローゼットがあって、バイトの制服をかけてある。
いちいち閉めるのがめんどうなのでいっつも開けっ放しだった。
そのクローゼットの中に宇宙人がいた。
白い輪郭に目鼻を付けて、体は棒人間みたいな宇宙人がこっちをじーっと見ていた。
さすがに心臓が止まるほどびっくりした。
怖かったというより意味不明すぎて「は?は?」みたいになっていた感じだったと思う。
しばらくじーっとにらみ合った後、なぜか俺はそれが「子供の幽霊」だと思った。
今思い出してみると明らかに人間の体型じゃないんだけど、本当になぜかその時は、呪怨のトシオ君みたいなのをずっとイメージしてた。
ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!と重いながら、体を必死で動かそうとしていた。
全身に力を入れると、どうにか上半身は布団から抜け出せた。
布団から抜け出るとけっこう体は普通に動いた。
そのままベッドの脇を掴んで、必死に下半身も引きずり出した。
でも足が動かなかったので、えびぞったりまるまったり気持ち悪い動きを繰り返した。
最後の方は「靴下を履いたまま布団に入ったからだ」と思い込んで必死に靴下を脱いだ。
たぶん相当パニクってたんだと思う。
こんな動きをしている間にも、宇宙人はじっとこちらを見ていた。
俺もパニクりながらもしっかり目は離さなかった。
「視線を逸らしたらやられる!」みたいな緊張感。
ゴキブリと対峙している気分だった。
布団から出た後は、ベッドの反対側から降りた。
そのまま部屋から飛び出せばよかったような気もするんだけど、その時は思いつかなかった。
とりあえずその子供の幽霊を追い払おうと考えた。
ビビリながらも「ボク~?どこの子~どこから入って来たの~」とかおカマ口調で話しかけて、そのまま全力で殴りかかった!!
勢いで反対側からベッドに飛び乗って、そのままクローゼットに体当たりを仕掛ける感じで殴りかかった。
殴った瞬間のことは憶えていないけど、自分の服の感触しかなかった。
目の前で白い宇宙人はいきなり消えてしまった。
あんまり消えることに対しては驚かなかったと思う。
それより興奮してたので、「どこだコラァ!」みたいな感じで、何も無い空間に向かって威嚇した。
ホラー映画とかだとよく幽霊はワープするから、それを目茶苦茶警戒してぐるぐる廻りながら腕を振り回してた。
たぶん端から見ればキチガイだったと思う。
それから先はわからない。
気が付くと寝汗びっしょりで同じベッドの中にいた。
まだ寒い春先だったから、かなり違和感あったのを覚えてる。
時間は8時くらいで、周囲も明るくなっていた。
「あれ?夢だったのあれ?現実?」
・・・みたいによく分からない感覚。
普段は寝てる時間帯だから眠いし、頭痛いしでかなり混乱してた。
とりあえずクローゼットの方を見ると、白い宇宙人はいなくなってた。
クローゼットの場所にはポスター(写真?)があって、こっちを向いてる人が映ってた。
ボーッとした頭でも、なんとなく理解した。
ああ、これ夢だ!
この写真が幽霊の正体だ!
これを見ながら寝たから、あんな場所に誰か立ってるみたいな夢を見たんだ!
そんな感じで解釈した。
急にバカらしくなって、もう一度横になって寝た。
その日は普通に起きて、そのまま飯を食いに出かけた。
目が覚めたときには完全に朝の夢のことを忘れていた。
バイト中に思い出して、暇つぶしに裏で同僚に「そういえば気持ち悪い夢見た」と話した。
「んで、ただの写真やったw」
「アホかよw」
みたいな話をしてる最中に、ふと思った。
そういえばあの写真、何の写真だったんだろうって。
そこでやっと気が付いた。
俺の部屋、写真なんて無い。
そもそもクローゼットにかぶる位置に写真なんておけるはずがない。
部屋に戻ったあと、ベッドに寝転んで位置を何度確認しても朝に見た「写真っぽい何か」の正体はわからなかった。
そもそも、さすがに俺も写真と人間を見間違えたりしねえよ、とか、夜のアレも夢じゃなくて現実にあったことなんじゃないかとか考えて、すごく気持ち悪くなってきた。
その晩は怖くて、夜に何度もクローゼットの方をちらちら確認しながら寝た。
デジカメや携帯を枕元に置いて、すぐ正体が確認出来るようにした。
一週間くらい粘ってみたけど何も起こらなかった。
というか、疲れたまま寝てしまうことが多くて、そのまま忘れてしまった感じ。
クローゼットは気持ち悪いので服を全部出して空にした。
部屋に備え付けてあるタイプだから外せないので、せめて扉を閉めてズボンをかけてできるかぎり目に入れないようにしてる。
去年の今頃の話。
今も同じ部屋にいる。
まあこの一年間何もなかったから何も無いと思うけど、いまだに気持ち悪いことに変わりはない。
服がしまえないからジャマだなあとか、締め切った中でゴキブり大繁殖してないかなあとかいろいろ不安もあるけど、もう出ていくまで開けないことに決めた。
幽霊とか宇宙人とか、もしかしたら全部夢かも知れないけど、正直確認する気になれない。
気持ち悪いし・・・。
とにかく俺の部屋には、開けないままのクローゼットがある。
中身はカラッポのはずだと信じたい。
金縛りって言っていいのかわからないけど、布団が凄く重かった。
寝返りをうとうとしても体が固定されてて動かせない感じ。
しばらくボーッと天井を見ていた。
窓の外は真っ暗だったから、なんとなくまだ夜なんだろうなあと思った。
疲れていたので二度寝しようとしたんだけど、布団が重くて苦しいから眠れない。
どかそうにも疲れてて動けない、みたいなめんどくさい状況だった。
しばらくもぞもぞしながら、とりあえず携帯を見ようと思って無理に首を曲げてベッドの脇を見た。
白い宇宙人が立っていた・・・。
ベッドの脇には開閉式のクローゼットがあって、バイトの制服をかけてある。
いちいち閉めるのがめんどうなのでいっつも開けっ放しだった。
そのクローゼットの中に宇宙人がいた。
白い輪郭に目鼻を付けて、体は棒人間みたいな宇宙人がこっちをじーっと見ていた。
さすがに心臓が止まるほどびっくりした。
怖かったというより意味不明すぎて「は?は?」みたいになっていた感じだったと思う。
しばらくじーっとにらみ合った後、なぜか俺はそれが「子供の幽霊」だと思った。
今思い出してみると明らかに人間の体型じゃないんだけど、本当になぜかその時は、呪怨のトシオ君みたいなのをずっとイメージしてた。
ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!と重いながら、体を必死で動かそうとしていた。
全身に力を入れると、どうにか上半身は布団から抜け出せた。
布団から抜け出るとけっこう体は普通に動いた。
そのままベッドの脇を掴んで、必死に下半身も引きずり出した。
でも足が動かなかったので、えびぞったりまるまったり気持ち悪い動きを繰り返した。
最後の方は「靴下を履いたまま布団に入ったからだ」と思い込んで必死に靴下を脱いだ。
たぶん相当パニクってたんだと思う。
こんな動きをしている間にも、宇宙人はじっとこちらを見ていた。
俺もパニクりながらもしっかり目は離さなかった。
「視線を逸らしたらやられる!」みたいな緊張感。
ゴキブリと対峙している気分だった。
布団から出た後は、ベッドの反対側から降りた。
そのまま部屋から飛び出せばよかったような気もするんだけど、その時は思いつかなかった。
とりあえずその子供の幽霊を追い払おうと考えた。
ビビリながらも「ボク~?どこの子~どこから入って来たの~」とかおカマ口調で話しかけて、そのまま全力で殴りかかった!!
勢いで反対側からベッドに飛び乗って、そのままクローゼットに体当たりを仕掛ける感じで殴りかかった。
殴った瞬間のことは憶えていないけど、自分の服の感触しかなかった。
目の前で白い宇宙人はいきなり消えてしまった。
あんまり消えることに対しては驚かなかったと思う。
それより興奮してたので、「どこだコラァ!」みたいな感じで、何も無い空間に向かって威嚇した。
ホラー映画とかだとよく幽霊はワープするから、それを目茶苦茶警戒してぐるぐる廻りながら腕を振り回してた。
たぶん端から見ればキチガイだったと思う。
それから先はわからない。
気が付くと寝汗びっしょりで同じベッドの中にいた。
まだ寒い春先だったから、かなり違和感あったのを覚えてる。
時間は8時くらいで、周囲も明るくなっていた。
「あれ?夢だったのあれ?現実?」
・・・みたいによく分からない感覚。
普段は寝てる時間帯だから眠いし、頭痛いしでかなり混乱してた。
とりあえずクローゼットの方を見ると、白い宇宙人はいなくなってた。
クローゼットの場所にはポスター(写真?)があって、こっちを向いてる人が映ってた。
ボーッとした頭でも、なんとなく理解した。
ああ、これ夢だ!
この写真が幽霊の正体だ!
これを見ながら寝たから、あんな場所に誰か立ってるみたいな夢を見たんだ!
そんな感じで解釈した。
急にバカらしくなって、もう一度横になって寝た。
その日は普通に起きて、そのまま飯を食いに出かけた。
目が覚めたときには完全に朝の夢のことを忘れていた。
バイト中に思い出して、暇つぶしに裏で同僚に「そういえば気持ち悪い夢見た」と話した。
「んで、ただの写真やったw」
「アホかよw」
みたいな話をしてる最中に、ふと思った。
そういえばあの写真、何の写真だったんだろうって。
そこでやっと気が付いた。
俺の部屋、写真なんて無い。
そもそもクローゼットにかぶる位置に写真なんておけるはずがない。
部屋に戻ったあと、ベッドに寝転んで位置を何度確認しても朝に見た「写真っぽい何か」の正体はわからなかった。
そもそも、さすがに俺も写真と人間を見間違えたりしねえよ、とか、夜のアレも夢じゃなくて現実にあったことなんじゃないかとか考えて、すごく気持ち悪くなってきた。
その晩は怖くて、夜に何度もクローゼットの方をちらちら確認しながら寝た。
デジカメや携帯を枕元に置いて、すぐ正体が確認出来るようにした。
一週間くらい粘ってみたけど何も起こらなかった。
というか、疲れたまま寝てしまうことが多くて、そのまま忘れてしまった感じ。
クローゼットは気持ち悪いので服を全部出して空にした。
部屋に備え付けてあるタイプだから外せないので、せめて扉を閉めてズボンをかけてできるかぎり目に入れないようにしてる。
去年の今頃の話。
今も同じ部屋にいる。
まあこの一年間何もなかったから何も無いと思うけど、いまだに気持ち悪いことに変わりはない。
服がしまえないからジャマだなあとか、締め切った中でゴキブり大繁殖してないかなあとかいろいろ不安もあるけど、もう出ていくまで開けないことに決めた。
幽霊とか宇宙人とか、もしかしたら全部夢かも知れないけど、正直確認する気になれない。
気持ち悪いし・・・。
とにかく俺の部屋には、開けないままのクローゼットがある。
中身はカラッポのはずだと信じたい。
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