帰省中の姉ちゃんが、さっき話してくれた話が、俺的にも怖かったので書いてみる。

姉ちゃんは、二階の一番奥のベッドと本しかない小さな部屋に寝ている。
階段上がって、真っ直ぐの廊下を突き当たると、姉ちゃんの小部屋がある。

最初はイタズラかと思ったらしい。
真夜中、3時過ぎになると、誰かが玄関にやって来て、ドアをガチャガチャやる。
音が気になるし、万が一不審者だったら、男は軟弱な俺しかいないのが不安で全く眠れない。
って失礼だよな。

最初の2日は、小一時間ガチャガチャやって帰っていくんで、とにかく戸締まりは気をつけて寝ようって母さんと話してたんだと。

で、3日目。
また、深夜3時。
誰かが玄関をガチャガチャする。

しかし、その夜は違った!

ドアが開いたのだ。

姉ちゃんは、布団の中で硬直した。
昔からおかしな体験を繰り返ししてきたから、これが不審者なのか、または人ではない何かなのか、丸っきり分からなかったからだ。

ベッドに起き上がり、上着を羽織ってドアを睨み付けて、どうするか考えた。

誰かは、玄関をあがり、廊下を歩く。

ギシっギシっズー

何かを引きずる、ゆっくりとした足音。
それは、階段を上がりだした。

姉ちゃんは、取り敢えず俺を起こそうと携帯を握りしめた。

ギシっギシっズルッドン

鈍い音が階段にぶつかる。
それは、重たいものだと感じた。

姉ちゃんはその頃にはもう恐怖で固まってしまい、携帯を持っていることも忘れて、とにかくドアを睨んで気配を消そうと努めた。

姉ちゃん『気付かれなくない!』

ギシギシズルッドン

ギシギシズルッドン

それは、階段を上がりきると、真っ直ぐ姉ちゃんの部屋に向かってきた。

ギシっギシっズルッ

姉ちゃんの部屋の前で立ち止まる誰か。
姉ちゃんは、もうそれは人ではない何かだと確信し、思い切って扉を開けた。

そこには何もなかった。
と、言うことが2日続いていて、もうとにかく眠れなかったらしい。

母さんに言ったら、「あ、聞こえたけど、あんたの部屋に行くんだから、私には関係ないと思ってぐっすり寝てるわよ」と、あっけらかんと言われたらしい。

「だから、仏壇のお父さんとおばあちゃんにお願いしたんだよね。そしたら、昨日は玄関から入れなくなってたよ」って、それさ、解決してねーじゃん。

俺、玄関脇の部屋で寝てるんだが・・・居るのかそこに。

零感だけど、怖すぎだよ・・・。