オイラには霊感が無い、たぶん世界一無い。

心霊スポットに行っても何も感じないし、皆がいっせいに「ヤバイよね」と言ってる写真を見ても「え・・どこに?」といった感じ。

極めつけは、オイラが住んでるアパート、某部屋。

他のより家賃が安いいわゆる「いわく付き物件」

それですらオイラは何も見えないし聞こえない。

そんなオイラがこの前先輩と後輩二人で夜、恐山に行ったんさ。

ヒマだったし。
恐山の麓に住むオイラ達には絶好のドライブコース。
適度なカーブになってる恐山街道で、オイラ達はレガシーでブイブイ走り、地蔵にこすりそうになったりと、大興奮。

そんで釜伏展望台に行く道と、イタコがいる寺みたいな所に行く道に分かれるY字路でUターンして帰ることにした。

そんな帰り道で事件が起こる。

恐山街道には冷や水峠と言われる幽霊目撃多発地帯がある。(赤ん坊を抱いた女霊見えるらしい)

そこを通る時、先輩が急に速度をあげたんさ。

後輩1「今・・・え?」

後輩2「いましたよね?」

先輩「もう言うな、マジヤバいだろ・・・ヤバいって」

どうやら冷や水の辺りの木の隙間から、やたら顔色が悪いおっさんが凄い形相でガンをつけてたらしい。

そしてオイラはすかさず言った。

「鹿が飛び出してきそうでしたね」

そう・・・みんな、右にいたおっさんに注目してる時、オイラだけ左にいたカモシカを見てたのだ。

たぶんこれが見える奴と見えない奴の違い。
焦点が合わないっつうの?

気配りがたらん奴には霊は寄り付かないらしい。

後日談は他の3人はかなりの割合で夢におっさんが出没して、結構まいってる。

今度キムラの神様のとこ行くだの行かないだの・・・。

オイラはおっさんなんか出ないし、鹿すらでない。