幽霊話じゃないけどちょっと怖かった話。

私の家の近くには結構大きな神社がある。
そこで祭りの時に屋台が出るんだけど、私が小さい頃にはお化け屋敷と怪物屋敷も神社の中に来ていた。
その二つは隣あわせにほったて小屋みたいに建てられてて、大きな木の看板がそれぞれつけられてた。

看板には、昔のホラー漫画の表紙みたいな鮮やかな色の絵が描かれてた。
お化け屋敷の方はろくろ首とか、番町皿屋敷みたいな幽霊の絵。
怪物屋敷は顔が人間体が蛇の絵とか、人面犬みたいなのだった。

私は当時から怖いものに興味があったから、父にねだってお化け屋敷の方は入ってみた。
中はなんてことはない、人が脅かしてくる系のお化け屋敷だった。
怪物屋敷の方は興味がなかったから入らなかった。

このお化け屋敷と怪物屋敷は毎年来てたんだけど、ある年からお化け屋敷しか来なくなった。
怪物屋敷なくなっちゃったな、入ってみればよかったなと、その時ぼんやり思っていた。
それからしばらくして、お化け屋敷の方も、その神社には来なくなった。

それから何年か経って私が高校生になった時、近所に住んでいる友達が怪物屋敷の話をしてくれた。
その子は、その神社の怪物屋敷に入って、中を見ていたらしい。

中には、檻みたいな中に、10歳に満たないくらいの男の子が裸で入っていて、地面にいるひよこを手づかみして、両足をつかんで引き裂いて食べていたらしい。
で、そういう光景を見物人が囲んで見る・・・みたいなことがされていたらしい。

友達はその光景を思い出すと今でも怖いと言っていた。
他にも何かあったかもしれないけど、友達が話してくれたのはそれだけだった。

ここからは私の想像。
昔は精神病とか障害者の人を買い取って見世物小屋とかで見せる、みたいなことがあったらしい。
だからこの怪物屋敷も、それの一種だったんだろうなと思う。

で、だんだん怪物屋敷が倫理的にヤバいって流れになってなくなったんじゃないかなと思った。

怪物屋敷、入らなくてよかったって思うけど、ちょっと入ってみたかったって心もあったりする。