大学生の頃の話。

仲のいい友達(仮にY)が、何時頃からか連絡が取れなくなった。
周りの友達にそいつのことを聞いてみると、同じく連絡が取れない状態だった。

何かあったのかもしれないということで友達(仮にT)と俺の2人でアパートに様子を見に行った。

アパートについてチャイムを鳴らしても出なかった。

鍵がかかってるかドアノブをガチャガチャして確認して、「出かけてるのかな」と言い終わると同時くらいに、鍵を開けるような音もせず急にバーン!と扉が開いて、何かがTを掴んだ。

何かというか人の手なんだけど、真っ黒でそれが人とは思えなかった。

Yの部屋からその手は伸びてるけど、真昼間なのに部屋の入り口から先が真っ暗だった。

そのせいで真っ黒な腕の胴体とかは見えなかった。

その手はTを部屋に引っ張り込もうとしてるみたいで、Tは「うわああああいやだああああ」と叫びながら抵抗してた。

俺は鍵がかかっていると思っている扉が急にバーン!って開いたので、ビックリしちゃって尻餅をついてた。

でもなんとかしなきゃと思って、尻餅をついたまま足で扉を閉めた。

真っ黒な腕が扉に挟まるイメージをしてたけど、腕は挟まることなくTを離して
スルリと扉の中に消えていった。

扉が閉まった後はひたすら走って逃げた。

その後なんやかんやあって、Yが近くの山で自殺しているのが見つかったんだけど、死んだのはアパートに行く前日とのことで、あの黒い手はYのものではないことが解った。

最後端折りすぎたかもしれないけど、あとはただの経過でオカルト的なことは起きてないので省略した。