あれは何年か前の夏の夜。
俺と先輩は、客先の電算室で別の建物にあるサーバーの接続テストを行っていました。
自分らがいる電算室がある建物はいわく付きのある建物で、その昔、若い女性が飛び降り自殺をしたらしいです。

その事件があった当時の電算室長の言うことには、ある朝出社してみたらおびただしい血だまりと、人の形に地面に曳かれたチョークの線。
そして多くの警官達と周辺を調査する鑑識の人達がいたそうです。
以来、そこの建物には色々な怪異が起こると言われてました。

自分と先輩も接続テストがうまくいかず、かなりイライラしてました。
線は繋がってて機器も新品。
事前のテストは完璧。
じゃあ、建物間にあるラインが問題か?というとそうではない・・・。

先輩は言いました。

先輩「まさか、昔飛び降り自殺した奴が嫌がらせしてるわけじゃねーだろーな!」

自分も言いました。

自分「だとしたら許せねぇっすよ!自分は姿形見えないのをいいことにこんな嫌がらせ?マジ死ねっすね!つか死んでるけど」

その瞬間、電算室中に割り箸でも割るか折るかのような音が鳴り響いた。

『バキバキバキ!パリパリ!ベキベキ!』って。

ラップ音って奴なんだろうね、アレは。
その音の後の数分後、あれほどうまく行かなかった接続テストは不思議なことに成功した。
テストが終了するまでの間、俺と先輩は無言でした。
先輩の顔はすごく青ざめてました。
自分はさらに泣きそうになってました。

結局、接続テストがうまく行かなかった原因が何だったのかは分からずじまいです。
まさか、本当に幽霊が邪魔してたり、手を貸したりしたとは・・・考えたくないですね。

後日談ですが、今はその客先の会社は倒産して存在してません。
無論、当時自分が所属していた会社も、ですがね。

これは自分的な想像に過ぎないのですが・・・。

自殺した方はあの客先の会社の社員の方では?
あの客先の会社の誰かに不当な目に遭わされ絶望して自殺されたのでは?
そしてあの会社に係わった人をすべて不幸にするべく呪い続けているのでは?

そんな気がします。

ちなみにその現場を見たと言う当時の電算室長、現在行方不明です。