一時期ダイエットとかに効果があるとかで、バランスボールエクササイズってのが流行ってたが、あれにまつわる個人的に洒落にならなかった話。

アレって使う前に膨らませるのにもそれなりに体力使うのな。
専用のポンプとか使えばいいんだろうが、自分は息で膨らまそうとしても、自分の貧弱な肺活量で全然膨らまない。
そこで、ジムに通ってて、それなりに肺活量もある姉に頼んで膨らませてもらった。

しばらくはそれ使って、エクササイズもどきを自分なりにやってたんだが、もともと、別に太ってるってわけでもなく、普段の運動不足の解消にでもなればと始めたことだったから、案の定1週間ほどで飽きて部屋のオブジェと化してた。

放置し始めてからしばらくした時あることに気付いた。
朝、目が覚めてバランスボールがある場所が、寝る前にあった場所と違う場所にあることに。
その時は、自分の部屋には鍵がかからないから、寝てる間に姉が自分の部屋に持っていって使ったりしてるんだろくらいにしか考えていなかった。

ある時、物凄い悪夢(恐ろしい夢だったということだけで、内容までは覚えていない)を見て真夜中に目が覚めた。

春先だったのに寝汗が酷いことになってて、不快感を覚えながらもベッドに横になった姿勢のまま部屋を見渡すとバランスボールが勝手に跳ねている。

ポーン、ポーンって・・・。

それを見て一気に毛穴が開いて物凄い悪寒が襲ってきた。
布団を被ってすぐにでも見ないようにしたいのに、なぜか目が逸らせない。
そのうちバランスボールの動きがだんだん激しくなっていき、バランスボールから腕や足の形をした物がバランスボール飛び出しては引っ込みを繰り返すように蠢いていた。

中に何人かの人間がいて暴れているような感じだった。
サイズ的に中に何人も入れるはずもないのにな・・・。

そうこうしてるうちに、バランスボールは暴れまわりながら段々と私の方に寄って来た。
一方、私は金縛りで体の自由が効かない状態。
目も閉じれなくなってた。
その状態で、バランスボールは手足出したり引っ込めたりしながらじわじわと近寄ってくる。

で、目の前まで来た頃で、バランスボールはピタリと止まった。

次の瞬間、バランスボールから一斉にいくつもの顔の形をした物がブワッと浮き上がった。
それを見た瞬間、自分の理性が限界を迎えたんだろうな・・・気絶をしたようで気付いたら朝だった

目が覚めたらバランスボールは、自分の目の前にあり、あれは夢じゃなかったんだと確信した。
こんな気持ちの悪いものはもう部屋に置いておけないと思い、家の外で空気を抜いて、不燃物としてゴミに出した。

その後、特に自分自身にも家族にも何も起きてはないが、お姉さん、あなた一体何を吹き込んだんですか・・・?