6年くらい前なんだが、初めての一人暮らしで田舎のアパートを借りたんだ。
家賃3万ちょっとの2DKだったんだが値段の割に小奇麗で、下見したときにラッキーって心の中でガッツポーズしたのを憶えている。
仕事が忙しくてあまり家に帰れず、荷解きも半分くらいしかできていない状態で1月が過ぎちゃったんだ。
引っ越して一ヶ月もすると定時で家に帰れるようになり、やっとまともにくつろぐ時間もできてきた。
家賃3万ちょっとの2DKだったんだが値段の割に小奇麗で、下見したときにラッキーって心の中でガッツポーズしたのを憶えている。
仕事が忙しくてあまり家に帰れず、荷解きも半分くらいしかできていない状態で1月が過ぎちゃったんだ。
引っ越して一ヶ月もすると定時で家に帰れるようになり、やっとまともにくつろぐ時間もできてきた。
俺は基本的に風呂は貯めて入るのだが、夏に差し掛かったこともありシャワーで済ませることが多くなった。
だがシャワーを頻繁に使い出して、あることに気がついた。
シャワーヘッドがよく落ちる・・・。
最初はちゃんと固定していないからだと思い、注意してはめ込むよう気をつけたのだがそれでも落ちている。
そんなことが続くと、ずぼらな俺は落ちたらそのまま放置し、使うときに掛けるようにしていたのだが・・・。
ある夏の夜、俺はほとんど水のようなぬるいシャワーを浴びて頭を流していた。
すると、途中で何か音が聞こえる。
ゴボゴボと、なにか配水管を流れるような音が上の方から聞こえてくる。
なんだろうと思いながらも泡を洗い流すことに専念し、お湯を止めて顔を拭っていたら後頭部に衝撃と痛みが。
・・・落ちてきたんだ、シャワーヘッドが。
地震も何もなく、フックに安定して掛けていたシャワーヘッドが、落ちる。
そこで遅まきながらも絶対変だと思いだした。
腑に落ちないが、とりあえず頭を拭いてバスルームを出て、ドライヤーで頭を乾かしていると、突然頭痛が襲ってきた。
夏風邪でも引いたかなと思い、その日は早めに寝ることにした。
夜中、暑くて目が覚め起き上がるとまだ頭が痛い。
そこで気がついたのだが、鼓動のたびに、痛みが襲ってくるたびに何か見える。
ドクンと疼くたび、脳裏で何かの映像が浮かぶ。
最初はよく分からなかったのだが、その日からずっと頭痛が続いてしばらくするとその映像が何かわかった。
顔が近づいてくる・・・。
最初は何か物体、1週間くらいで顔と認識し、翌週には女らしいとわかった。
気味が悪いなとは思いつつも、ロキソニンを飲んで様子を見ていた。
元来頭痛持ちでもなんでもなかったのだが、3週間を過ぎここまで続くとさすがになにか病気ではないかと疑い検査を受けた。
結果は特に異常もなく、ただの偏頭痛でしょうということで薬をもらって終了。
なんとなく腑に落ちないが、医者の言葉を信用して退散した。
家に帰り、ソファでぼぉっとしていると、ふとこんな思いがよぎった。
このまま頭痛が続いて、あの顔がもっと近づいて迫ってきたらどうなるのか。
言い知れぬ恐怖を感じ、困ったときの神頼みということでお稲荷さんにお願いに行くことにした。
神社に近づくたび、あの頭痛が激しくなる。
しかも心なしかこの一時間ほどで急に近づいているような気がする、いや絶対近づいている・・・!
怖くなり、帰ろうかと思ったが、家に帰ったところで顔が消えるわけでもなく半ば意地で参拝した。
線香を買い、家から持ってきた白米と油揚げを狐さんにお供えし、ご本尊にお願いする。
陽が傾きかけ、帰ろうと階段を下りきったその時なんとなく背後を振り向いたら、上段の方になんか居た。
太陽ですぐ目を瞑ってしまったが、その一瞬でそれがあの顔だとわかった。
階段は何十段もあり、遠くて普通ここからは分からないはずだが俺は確信していた。
顔はゆっくりと後ろの方へ引っ込んでいく。
背筋が凍るというのを初めて体感し、急に怖くなって人の居るほうへ土産物屋の方へ走った。
人が居るというのは安心するもので、すぐに落ち着いた。
その時気がついたのだが、もう頭痛がしないし、あの顔も明滅しない。
びくびくしながら家路に就き、不安ながらも早々に床に就き、その晩に夢を見た。
夕暮れの空に大麦畑みたいな背の高い草の茂る金色の草原、そこに大きくて白い雲のような塊があり、背の高い草はそちらの方へなびいている。
あの顔が、その白い塊の表面にくっついていた。
よく見ると埋もれかかっていて、じっと見ていたら目が合った。
次の瞬間、白いものに完全に埋もれてしまった。
なんだか猫の足の裏のような匂いに包まれながら、俺の視点は草原をさまよう。
そこで目が覚めた。
その日以来、シャワーヘッドが落ちることはない。
頭痛も、あの顔もない。
お稲荷様が助けてくださったんだ・・・と思い、以後毎年欠かさずお参りして感謝している。
ちなみにその日以来やたら猫に甘えられるようになった。
賃貸でペット禁止なんだけど、駐車場に野良・飼い猫が集まってきて俺を見るなり走ってくるので周囲の目が厳しいw
だがシャワーを頻繁に使い出して、あることに気がついた。
シャワーヘッドがよく落ちる・・・。
最初はちゃんと固定していないからだと思い、注意してはめ込むよう気をつけたのだがそれでも落ちている。
そんなことが続くと、ずぼらな俺は落ちたらそのまま放置し、使うときに掛けるようにしていたのだが・・・。
ある夏の夜、俺はほとんど水のようなぬるいシャワーを浴びて頭を流していた。
すると、途中で何か音が聞こえる。
ゴボゴボと、なにか配水管を流れるような音が上の方から聞こえてくる。
なんだろうと思いながらも泡を洗い流すことに専念し、お湯を止めて顔を拭っていたら後頭部に衝撃と痛みが。
・・・落ちてきたんだ、シャワーヘッドが。
地震も何もなく、フックに安定して掛けていたシャワーヘッドが、落ちる。
そこで遅まきながらも絶対変だと思いだした。
腑に落ちないが、とりあえず頭を拭いてバスルームを出て、ドライヤーで頭を乾かしていると、突然頭痛が襲ってきた。
夏風邪でも引いたかなと思い、その日は早めに寝ることにした。
夜中、暑くて目が覚め起き上がるとまだ頭が痛い。
そこで気がついたのだが、鼓動のたびに、痛みが襲ってくるたびに何か見える。
ドクンと疼くたび、脳裏で何かの映像が浮かぶ。
最初はよく分からなかったのだが、その日からずっと頭痛が続いてしばらくするとその映像が何かわかった。
顔が近づいてくる・・・。
最初は何か物体、1週間くらいで顔と認識し、翌週には女らしいとわかった。
気味が悪いなとは思いつつも、ロキソニンを飲んで様子を見ていた。
元来頭痛持ちでもなんでもなかったのだが、3週間を過ぎここまで続くとさすがになにか病気ではないかと疑い検査を受けた。
結果は特に異常もなく、ただの偏頭痛でしょうということで薬をもらって終了。
なんとなく腑に落ちないが、医者の言葉を信用して退散した。
家に帰り、ソファでぼぉっとしていると、ふとこんな思いがよぎった。
このまま頭痛が続いて、あの顔がもっと近づいて迫ってきたらどうなるのか。
言い知れぬ恐怖を感じ、困ったときの神頼みということでお稲荷さんにお願いに行くことにした。
神社に近づくたび、あの頭痛が激しくなる。
しかも心なしかこの一時間ほどで急に近づいているような気がする、いや絶対近づいている・・・!
怖くなり、帰ろうかと思ったが、家に帰ったところで顔が消えるわけでもなく半ば意地で参拝した。
線香を買い、家から持ってきた白米と油揚げを狐さんにお供えし、ご本尊にお願いする。
陽が傾きかけ、帰ろうと階段を下りきったその時なんとなく背後を振り向いたら、上段の方になんか居た。
太陽ですぐ目を瞑ってしまったが、その一瞬でそれがあの顔だとわかった。
階段は何十段もあり、遠くて普通ここからは分からないはずだが俺は確信していた。
顔はゆっくりと後ろの方へ引っ込んでいく。
背筋が凍るというのを初めて体感し、急に怖くなって人の居るほうへ土産物屋の方へ走った。
人が居るというのは安心するもので、すぐに落ち着いた。
その時気がついたのだが、もう頭痛がしないし、あの顔も明滅しない。
びくびくしながら家路に就き、不安ながらも早々に床に就き、その晩に夢を見た。
夕暮れの空に大麦畑みたいな背の高い草の茂る金色の草原、そこに大きくて白い雲のような塊があり、背の高い草はそちらの方へなびいている。
あの顔が、その白い塊の表面にくっついていた。
よく見ると埋もれかかっていて、じっと見ていたら目が合った。
次の瞬間、白いものに完全に埋もれてしまった。
なんだか猫の足の裏のような匂いに包まれながら、俺の視点は草原をさまよう。
そこで目が覚めた。
その日以来、シャワーヘッドが落ちることはない。
頭痛も、あの顔もない。
お稲荷様が助けてくださったんだ・・・と思い、以後毎年欠かさずお参りして感謝している。
ちなみにその日以来やたら猫に甘えられるようになった。
賃貸でペット禁止なんだけど、駐車場に野良・飼い猫が集まってきて俺を見るなり走ってくるので周囲の目が厳しいw
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