小学生の頃に体験した出来事。
あれはたぶんマジモンの心霊現象だったと思う。
当時小学生の俺はボーイスカウトの団員だった。
ボーイスカウトってのはキャンプとかの野外活動をする団体で、夏休みのある日、地元の郊外を十数kmハイキングすることになったんだ。
ハイクではルートの途中に何箇所か通過チェックポイントを決めておく。
そのときは住宅地の片隅にある小さな神社をチェックポイントにしていたんだけど、いざ実際に歩いてその場所に着いたら、神社が二つあったのよ。
あれはたぶんマジモンの心霊現象だったと思う。
当時小学生の俺はボーイスカウトの団員だった。
ボーイスカウトってのはキャンプとかの野外活動をする団体で、夏休みのある日、地元の郊外を十数kmハイキングすることになったんだ。
ハイクではルートの途中に何箇所か通過チェックポイントを決めておく。
そのときは住宅地の片隅にある小さな神社をチェックポイントにしていたんだけど、いざ実際に歩いてその場所に着いたら、神社が二つあったのよ。
十字路を挟んだ対角線上にそっくり似ている神社が二つ。
鏡合わせになっているみたいだった。
地図には鳥居マークが一つしかないのに、おかしい・・・。
俺達はとりあえず地図通りの場所にある方の神社で休憩をとった。
こっちの境内は本殿が一つと小さな祠が一つ。
ぶっちゃけ何の変哲もない。
すると中学生のリーダーが「向こう側の神社も見てみよう」と提案してきた。
俺をふくめた他の班員もみんな気になっていたから、何の異論もなかった。
異変はその鳥居をくぐってすぐに気付いた。
なんか生臭かったんだ。
魚の腐ったみたいな悪臭が鼻をついてきた・・・。
他の班員も気づいたみたいで、顔をしかめたり臭いの出所を探ろうとあたりを見回したりしている。
境内はパッと見、さっきの神社と何の違いもない。
だけどよく見れば、こっちの本殿の引き戸が少しだけ開いていた。
中になんかヤバいもんがあるんじゃないかって俺は引き腰だったんだけど、リーダーはずんずん本殿への石畳を進んで行った。
リーダー「お前らちょっと待ってろ」
リーダーはそう言うと、本殿の中へ入っていった。
俺達はそれから数分間待ったけど、なぜかなかなか出てこない。
さすがに辛抱切らして様子を見に行くことになった。
すると引き戸の裏からリーダーが「ウワッ!!」と大声で飛び出してきた。
リーダーはビビってる俺達を笑って、「やっぱ、からかいがいがあるよな」とか言ってる。
「何もなかったよ。臭いはどっかの家の生ゴミでも腐ってんだろ」
この人はそういう人だったのだ。
リーダーの話す通り、本殿の中はさっきの神社と同じでごく普通だった。
似かよった神社が二つある理由も調べようとしたけど、その場では結局何もわからなかった。
ただ、その神社を出る間際、俺は見た。
リーダーの後ろ髪から背中にかけて、水でべったりと濡れていたんだ。
汗にしては不自然すぎる量で、濃密な悪臭は明らかにその水から漂ってくる。
だけどそれが見えたのは鳥居をくぐる間の一瞬だけだった。
道路に出ると、水も臭いもなくなった。
リーダーも他の班員も気づいていないようだったから、俺も気のせいかと思って何も言わずにいた。
その数日後、海水浴へ行っていたリーダーが、離岸流に巻き込まれて行方不明になった。
水死体として見つかったのはさらに数日後。
俺はとても見に行く勇気がなかったけれど、発見現場に居合わせた班員いわく、死体は夏場の高温で腐っていて、あの神社みたいな悪臭を発していたという。
これは後に知ったことだけど、あの神社は「金比羅(こんぴら)神社」といって、海の安全祈願のために全国に何百社と建てられたものらしい。
つまりそれ自体は本当に何の変哲もない神社だったわけだ。
だけど、海と関係のある神社へ行った後にリーダーが死んだのは、偶然に思えなかった。
それでどうしても気になった俺がもう一度訪れたとき、神社はたった一つしかなかった。
鏡合わせになっているみたいだった。
地図には鳥居マークが一つしかないのに、おかしい・・・。
俺達はとりあえず地図通りの場所にある方の神社で休憩をとった。
こっちの境内は本殿が一つと小さな祠が一つ。
ぶっちゃけ何の変哲もない。
すると中学生のリーダーが「向こう側の神社も見てみよう」と提案してきた。
俺をふくめた他の班員もみんな気になっていたから、何の異論もなかった。
異変はその鳥居をくぐってすぐに気付いた。
なんか生臭かったんだ。
魚の腐ったみたいな悪臭が鼻をついてきた・・・。
他の班員も気づいたみたいで、顔をしかめたり臭いの出所を探ろうとあたりを見回したりしている。
境内はパッと見、さっきの神社と何の違いもない。
だけどよく見れば、こっちの本殿の引き戸が少しだけ開いていた。
中になんかヤバいもんがあるんじゃないかって俺は引き腰だったんだけど、リーダーはずんずん本殿への石畳を進んで行った。
リーダー「お前らちょっと待ってろ」
リーダーはそう言うと、本殿の中へ入っていった。
俺達はそれから数分間待ったけど、なぜかなかなか出てこない。
さすがに辛抱切らして様子を見に行くことになった。
すると引き戸の裏からリーダーが「ウワッ!!」と大声で飛び出してきた。
リーダーはビビってる俺達を笑って、「やっぱ、からかいがいがあるよな」とか言ってる。
「何もなかったよ。臭いはどっかの家の生ゴミでも腐ってんだろ」
この人はそういう人だったのだ。
リーダーの話す通り、本殿の中はさっきの神社と同じでごく普通だった。
似かよった神社が二つある理由も調べようとしたけど、その場では結局何もわからなかった。
ただ、その神社を出る間際、俺は見た。
リーダーの後ろ髪から背中にかけて、水でべったりと濡れていたんだ。
汗にしては不自然すぎる量で、濃密な悪臭は明らかにその水から漂ってくる。
だけどそれが見えたのは鳥居をくぐる間の一瞬だけだった。
道路に出ると、水も臭いもなくなった。
リーダーも他の班員も気づいていないようだったから、俺も気のせいかと思って何も言わずにいた。
その数日後、海水浴へ行っていたリーダーが、離岸流に巻き込まれて行方不明になった。
水死体として見つかったのはさらに数日後。
俺はとても見に行く勇気がなかったけれど、発見現場に居合わせた班員いわく、死体は夏場の高温で腐っていて、あの神社みたいな悪臭を発していたという。
これは後に知ったことだけど、あの神社は「金比羅(こんぴら)神社」といって、海の安全祈願のために全国に何百社と建てられたものらしい。
つまりそれ自体は本当に何の変哲もない神社だったわけだ。
だけど、海と関係のある神社へ行った後にリーダーが死んだのは、偶然に思えなかった。
それでどうしても気になった俺がもう一度訪れたとき、神社はたった一つしかなかった。
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