3年ほど前、関東のとある古い大学病院に入院したときのこと。

換気のために病室の窓を開けていると、看護助手のおばちゃんが「ごめんね~、ここ閉めさせてね」とバタバタ閉めていく。

「暑いよ~」

俺が不満を言うと、「落ちる人がいるから・・・」みたいなことを言う。

(なんでそんな話をここでする?)

こっちの顔にそう書いてあったのか、おばちゃん「ああ、余計な話をごめんね~」と、そそくさと出て行ってしまった。

その後、手術を受けて別の病棟に移動になったんだけど、ある日の夜中に人の声で目が覚めた。

(なんだろう?)

耳を澄ませると、一番窓際のおばあちゃんがベッドに起き上がってお経を唱えてるのがわかった。
しばらくブツブツと念じて、やがて静かになったんだけど、翌朝は何もなかったかのようにいつも通りの様子。

ちなみに飛び降りの話を聞いた病棟とは、中庭を挟んで対面の病室。
単に習慣だったといえばそれまでだけど、一回寝てからわざわざ起きて念仏唱えるかなあ、と不思議で不気味だった。