私のお茶の先生が体験した話。

首吊り縄がするするーっと下りてくる夢を見て目が覚めた。
ずいぶん気味の悪い夢で、嫌なことが起こらないといいけれどと思った。

その日のお昼過ぎ、自分の部屋でうつらうつらしていたらなんだか騒がしい。
息子夫婦が真っ青な顔をして出かける支度をしている。

先生「どうしたの?」

嫁「いえ、ちょっと。実は弟が急に倒れて」

息子「とにかく今から二人で◯◯町(嫁の実家のある町)に行くから」

夜になって息子から電話がかかってきた。
Aさん(嫁の弟)が心臓麻痺で亡くなったという報告だった。
通夜や葬儀に行かなくてはと思ったが、ここ数日腰が痛くて歩くのが大変でかぜもひいており、息子夫婦は「どうか数日留守番していて欲しい」と強くいうので出席は遠慮したそうだ。

それからしばらくして先生のところに嫁の近所に住む先生の友達から電話がかかってきた。

友達「先日はお気の毒だったわね。私は近所だからお葬式には行ったけど、息子さんご夫婦とお孫さんたちがいるのに、あなたいなかったからどうしたのかと思って・・・」

先生「ええ、腰を痛めていた上にかぜもひいてしまって」

友達「それにしてもまさかあんな亡くなり方をするとはね。救急車が来て近所中びっくりだったわ」

先生「心臓麻痺で急だったそうで。まだ若いのに」

友達「え・・・?」

意味深な反応の友達がどうしても教えてくれないので、先生は思い切って息子にたずねてみた。

息子「まあいつまでも隠しておけることじゃないし、いずれわかることだから・・・実はね、Aさんの本当の死因は心臓麻痺じゃない。自殺なんだよ。お姑さんの話では前の晩とくに変わった様子はなかったっていうから、何が原因なのかは誰にもわからないんだ。お姑さん(母と息子の二人暮らし)が朝いつものように起きてしたくをして、Aさんを起こしに部屋のドアをあけたら・・・明け方に首を吊ったそうだ」

明け方に首吊り・・・。

先生はそのときハッと息を呑んだ。
首吊り縄がするするーっと下りてくる夢を見たのは、まさに・・・。