もう時効だろうから書かせてもらう。
霊感なんていっさいないし、幽霊話でもないですが・・・。

まだ自分が小学4~5年生だった頃、仲の良かった友人数人で深夜、親が寝たのを見はからって、そ~と家を出て公園に集合し、自転車で徘徊する、「探検」にハマっていた。
意味不明な遊びだが、当時は深夜独特の雰囲気や、あの非日常感が楽しかったんだと思う。

そんなある日、誰かが「今日は◯◯城(地元で有名)に行こうぜ!」と言い、みんなで向かった。

そして現地に着くと、当たり前だが門扉(もんぴ)が閉まっていた。誰が扇動するということもなく、各々が門扉を乗り越え中に降り立った。
今思うと幼かったとはいえ、不法進入したことを悪く思う。

そして堀の周りを「探検」していると、子供にはかなり高かった塀が他と比べて一段低く、さらに土が盛り上がっていて子供でも登れそうな一面を見つけた。

もう、ここまで来ると、いけないことをしていると言うことよりも、ドキドキ感の方が優ってしまい、我先にと塀をよじ登ったよ。
先に行くとかっこいいみたいな。

塀の向こうは、背の高い木がポツポツと立っている雑木林で、深夜ということもあり、それなりに雰囲気が出ていた。
みんなでビビリながらも、怖くねーなとか言いながら奥へ奥へと進んで行くと、ぼやーと明かりが灯っており、なにか白い塊がゆらゆら動いていた。

なんだろう?と思っていると、他の友人もそれに気づき、多人数だったこともあり、幽霊!成仏させようぜ!と調子づいてそれに近づいていった。
自分もビビったらカッコ悪いと思い、率先して向かった。

そしてその白いものに気づいてしまった。
それは結果から言うと単に人間だった。

幼少の記憶だし、遠目だったので自信はないが、恐らく30~40代くらいの女性で、映画でしか見たことないような白装束に、懐中電灯を首からさげ、一心不乱に木に何かを打ち付けていた。

なんとも言えない異様な雰囲気に、見つかったらやばいことになると直感で思ったが、後ろの友人に音を立てるなと知らせることも出来ずに自分が固まっていると、他の友人達も見つけてしまったのか、ピタッと固まってしまった。

そのまま逃げ出すことも出来ずにただ固まっていると、人の気配を感じたのか、その女性が打ち付けるのを止めてこちらを向いた。

ジーとこちらを見る女性に、心の中でお願い気づかないで・・・と思っていると、月明かりと遠くで光る懐中電灯の明かりしか届かない暗がりの中で、しっかりと目が合ってしまった。

時間にして数秒だったと思うのだが、体感時間は永遠かと思うくらいに長く感じた。

見つめ合ったまま、お互いに出方をうかがっていると、女がこちらめがけて猛然と走ってきた。

捕まったら殺される!!と思い、振り返ることもせずに来た方向にダッシュ。
他の友人達の様子を気にする余裕なんかなく、脱兎のごとく逃げたよ。

幸いかなり距離があったので塀を乗り越え全員無事に逃げ切れたが、友人が逃げる際振り返ると、かなり距離が縮まっててもうダメだ逃げ切れない、と思ったと言ってて、その時初めて間一髪だったってことを理解し、震えた。

他人に見られたら呪いが跳ね返るって言われる丑の刻まいりで、わんぱく小僧にその姿を見られてしまい、何を思い、どんな感情で追いかけて来たのか。
今でもたまに考えてしまう。

それから「探検」は頻度が減り、6年生になった頃には行かなくなりました。

幽霊より生きた人間の方がよっぽど怖い。