ついさっき父から聞いた話。

一週間位前に父は酒飲んで帰ってきたんだ。
そんですぐに寝て、夜中に目が覚めたらしい。

タバコ吸おうとベランダに出ようとカーテンを開けたら、赤い服着た髪の長い女が遠くのほうで手を前に突き出して、ゆらゆら動かしながら歩いていた。
でも足は動いてなくて、すべるように進んでいたそうだ。

それだけでも変なんだけどよく考えたら、ここマンションの4階なんだよ。
あまり驚かなかったけど、タバコ吸う気になれなくてそのまま寝たらしい。

女の顔はよく見えなかったけど目や鼻はなく、口くらいしかなかったって言ってた。
父は「人間年を取ると棺桶が近くなるから変なもの見ても怖くなくなるんだよなぁ」ってしみじみしてた。

父は霊とか超能力とか全く信じない人だから、話聞いて余計怖かった。