旅行から帰ってきた日の明け方、寝てたら急に金縛りになった。

目を開けると、白い服に鎧のパーツみたいなのを着けたおっさん達が、次々に俺を飛び越えては消えていってた。
最初はガクブルだったが、おっさん達は俺に気づかないし、俺を飛び越え消えた後はまた元の場所に戻るみたいで、何回も何回も同じおっさんが飛び越えてくるのを見てると、なんか怖くなくなって、あぁ、俺は地面の役割なんだな、とか思いながらぼけーっとおっさん達を見てた。

おっさん達を見続けるのにも飽きて、いつまで金縛り続くのかなとか思ってたら、部屋のドアのとこで音がした。
目線をそっちにずらすと、家で飼ってる猫が居た。
(猫のために部屋のドアは半分開けてある)

猫は霊感が強いとか聞くし、俺を助けに来てくれたに違いないと感じた。
俺は目で猫に助けてくれと語りかけた。
理解してくれたに違いない猫は、ゆっくりと俺の枕元まで来ると、俺の頭をベロベロと舐め始めた。

俺が『違う、そうじゃない!』と目で語りかけると、猫はゴロゴロと喉を鳴らしながら布団に入ってきて、俺の脇に頭をうずめて寝た。
おっさん達はまだ俺の上を飛び越えてた。

結局、目覚ましが鳴るまで金縛りは解けなかったし、おっさん達も消えなかった。