呼吸する仕組みを持たず、どのようにして生きているのか分からない常識外れの微生物を発見したと海洋研究開発機構などの国際チームが発表した。
生命誕生の謎の解明につながる可能性があるという。
英科学誌電子版に発表した。

チームは米カリフォルニア州の山で、地下深部からの湧き水に含まれる微生物を採取。
ゲノム(全遺伝情報)を調べたところ、16種類の微生物は呼吸をつかさどる遺伝子がなかった。

うち4種類は体内でエネルギーを生産するための遺伝子も見当たらなかった。
これらが生命を維持する仕組みは全く分からないという。

この湧き水は、地球のマントルの成分のかんらん岩と水が反応してできた。
強いアルカリ性で酸素をほとんど含まず、生命にとって極めて厳しい環境だ。

生命が誕生した約40億年前の地球は、よく似た環境だったとされる。
過酷なこの時代に生命が生まれた理由は大きな謎で、今回の微生物が解明の手掛かりになる可能性があるという。

海洋機構の鈴木志野特任主任研究員(環境微生物学)は「予想外の発見で驚いた。生命を維持する未知の機能を解明したい」と話す。